研究課題/領域番号 |
17K17433
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
赤川 祐子 (阿部祐子) 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10770117)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 18歳未満の子どもをもつがんになった親 / 希望と困難の現状 |
研究実績の概要 |
18歳未満の子どもをもちがんと診断された患者の増加が予測されている。がんになった患者の「親としての反応」は非常に複雑で、子どもに対して困難と希望の感情を両面持ち合わせていることが多い。特に、父親は家庭において自身の苦悩や人生について意志疎通を図る機会が少なく、困難を抱えることがある。本研究の目的は、18歳未満の子どもをもちがんになった父親における希望と困難の現状を明らかにし、多職種共同支援を開発することである。 平成29年度の計画は、18歳未満の子どもをもちがんになった親の希望と困難について文献研究を行い、現状を把握することであった。 取り組みとしては文献検討により研究の動向を明らかにし、本研究の核となる希望と困難の記述を抽出し、関連する因子を整理し概念化を図った。国内において本分野の研究は少なく、ほとんどが事例検討やインタビュー調査による質的研究であった。そのため、全国的にがんになった親の現状を把握する必要がある。文献より、親の希望には「子どもの存在に支えられている」「がんになってから親として成長できたと感じる」など、困難には「治療による身体的副作用により親役割が制限されることがある」「自分の病気のため、子どもにつらい思いを感じさせたくないと思った」等が挙げられた。次に、文献検討から得られた希望と困難の項目を用い、がんになった親に対して質問紙調査を開始した。調査は、全国がん診療連携拠点病院全てに研究協力依頼を送付し、同意の得られた施設から質問紙調査を配布しているため、次年度も引き続きデータ収集を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
文献検討は順調に進めることが出来た。質問紙調査の対象患者への倫理的配慮の検討には時間を要したが、対象への軽微な侵襲に配慮して研究を遂行可能となった。今後、調査を継続することで、十分、目標達成できると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、前年度に引き続き質問紙調査によるデータ収集を行う。質問紙によって得られたデータは、本研究に関連が深い学会(日本がん看護学会など)にて発表し、データ分析ならびに研究結果の考察をより深める。同時に、がんになった親を対象に子育てに関する希望と困難についてインタビュー調査を綿密に計画し実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗にやや遅れが生じたために次年度使用額が生じた。 次年度の研究費の使用計画は、まず、インタビューを行う対象者への謝礼とインタビュー参加者の元へ直接伺うための旅費である。現在行っている質問紙調査へ協力いただいた方の中から、5~10名程度インタビューを行う予定である。また、平成29年度に行った質問紙調査の成果を海外学会にて発表することを目指してそれに向けた研究費用の計上も視野に入れておく必要がある。
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