本研究の目的は、がんになった父親への多職種共同支援支援の開発である。これまで、がん治療中の親の困難と希望について全国質問紙調査と聞き取り調査を行い、親は親役割を実感することにより、存在価値を高める希望があることが明らかになった。そのため、がん治療中の親に対する支援で重要なことは、親の思いを傾聴すること、親同士が<子どもからの励ましや子どもとの何気ない日常から力をもらっている>ことや<日常の子どもの成長や活躍に希望と喜びを感じる>ような【子どもの成長】に目を向けられるように対話を促すことと考えられた。 当方では、がん治療中の親をもつ子どものグループサポートであるCLIMBプログラムを開催している。このプログラムでは、子どもはプログラムに沿ったアクティビティを行い、親は親同士で気持ちを共有しあう「親の会」で医療者も交えた時間を過ごす。これまでの研究より、親の会においても子どもの成長や親の希望に目を向けた対話に重きを置いた支援を取り入れることが重要と考えた。2019年8月のCLIMBプログラム親の会では、緩和ケア医師、臨床心理士、がん看護専門看護師等の多職種と共に担当し、希望を引き出せるような対話を目指し、親の会での介入効果の仮調査のために、QOLと心理的不安を尺度を用いて仮の質問紙調査を行うこととした。しかしながら、プログラムへの参加の患者は全て母親であり、父親はいなかった。また、仮調査後の2020年3月にもプログラムの開催を予定し、本調査に臨む予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により開催中止となった。よって、父親への支援を行うことができなかった。
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