研究課題
糖尿病性足潰瘍は、その全段階で多くの場合胼胝(べんち;タコ)を形成するため、胼胝形成を予防することが足潰瘍発症予防に効果的であると考えられる。今までに明らかにしてきた胼胝形成要因であるせん断応力圧力比(SPR: Shear stress Pressure Ratio)と胼胝形成のカットオフ値、胼胝形成に関わる歩行中の下肢の動きと靴の要因より、本研究は糖尿病神経障害患者においてSPRを考慮した胼胝形成予防介入効果を検証することを目的としている。平成29年度は、臨床で患者に対し介入をおこなう前段階として、健常者における介入効果検証とその結果の公表を行った。第一中足骨頭部の胼胝形成は、立脚相後期における膝関節の屈曲が少なく、足関節を回内させた蹴り出しと関連していることを今までの研究で示している。そこで、立脚相後期における蹴り出しをロッカーソールを着用しサポートすることでSPRが低下すると考えた。通常糖尿病性足潰瘍予防のために用いられている靴とその靴に義肢装具士がロッカーソール加工を行い、これらの2種類の靴を着用した場合のSPRを比較した。その結果、ロッカーソール加工をした靴を着用した場合、胼胝形成に関連するSPRが有意に低下し、これをIEEE EMBCで発表した。第五中足骨頭部の胼胝形成は、幅の狭い靴と関連していることを今までの研究で示している。そのため、適切な幅の靴と、コルクを挿入し幅を狭くした靴とで第五中足骨頭部の胼胝形成に関連する最大せん断応力値を比較した。その結果、幅の狭い靴では最大せん断応力値が高く、適切な幅の靴を着用すると有意に最大せん断応力値が小さくなることを示し、これを第5回看護理工学会学術集会で発表した。平成30年度より、臨床調査を行うための準備も開始しており、順調に進んでいる。
2: おおむね順調に進展している
計画していた健常者での調査について仮説通りの結果を得て終えることができた。平成30年度から行う予定の臨床調査についても既に準備を開始しており、予定年度内に調査を終了できる見込みがたっているため、予定通り順調に進展していると考えられる。
平成30年度、31年度は臨床調査を行う予定である。既に倫理審査の申請は通り、フィールドでの調整に入っている。
次年度より臨床調査が開始となり、センサや謝礼などが次年度の予定額のみだと足りなくなる可能性があったため、次年度使用できるよう繰り越しをした。36万円程度を繰り越しており、20万円程度をセンサに、16万円程度を謝礼に使用する予定である。
すべて 2018 2017
すべて 学会発表 (12件) (うち国際学会 2件) 産業財産権 (1件)