研究課題
糖尿病性足潰瘍は、その前段階で多くの場合胼胝(べんち;タコ)を形成するため、胼胝形成を予防することが足潰瘍発症予防に効果的であると考えられる。今までに明らかにしてきた胼胝形成要因であるせん断応力圧力比(SPR: Shear stress Pressure Ratio)と胼胝形成のカットオフ値、胼胝形成に関わる歩行中の下肢の動きと靴の要因より、本研究は糖尿病神経障害患者においてSPRを考慮した胼胝形成予防介入効果を検証することを目的としている。SPRと足の動きや靴との関連に関する原著論文が採択された。2019年度より臨床でRCTを開始し、2019年12月よりリクルート方法を変更したことで研究参加者が集まり始めていたが、COVID-19の影響で2020年5月より臨床調査が中断となっている。中断までに得られた15名分のデータを解析し、看護科学学会で発表し大会賞を受賞した。糖尿病神経障害があり胼胝がある研究参加者に対し、胼胝を削り1か月後の経過を確認している。コントロール群では1か月後に同程度の胼胝が形成されている例が多いが、フットウェアによる介入群では胼胝形成が縮小される例が多くみられており、今のところ仮説通りの結果が得られそうな見込みである。また、リクルート中に、足に関して本人から何も訴えがなくても、実際に足をみてみると足潰瘍のリスクが高い状態にある方がおり、医師や看護師と情報を共有しその後の治療につなげることができたことも重要な成果であり、医師や看護師とその成果について学会発表につなげることができた。
2: おおむね順調に進展している
予定通り臨床調査を実施していたが、COVID-19の影響で2020年5月より臨床調査が中断となっている。しかし、中断までに得られた15名分のデータを解析し、学会で発表し大会賞を受賞した。また、足にかかる外力と足の動きや靴との関連に関する原著論文が採択された。この調査に関連する研究についても臨床の医師や看護師と共同で学会発表につなげることができた。
臨床調査再開の許可が得られ次第、調査を再開する。調査が再開できない場合には、これまでに得られているデータを詳細に解析し、結果をまとめ公表を進める予定である。
COVID-19の影響で臨床調査が中断となっているため、計画を1年延長し、次年度使用額が生じている。
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