研究課題/領域番号 |
17K17457
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研究機関 | 神戸女子大学 |
研究代表者 |
奥井 早月 神戸女子大学, 看護学部, 助教 (00783002)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 2型糖尿病 / 療養行動 / 意味づけ |
研究実績の概要 |
本研究は、治療中断を防止する支援モデルの開発を目指し、治療を継続している2型糖尿病患者の療養行動に対して意味づけをするための要素を明らかにすることを目的とする。2型糖尿病は治療中断率が高く、患者が治療を継続できるよう支援が必要である。治療中断したことがある2型糖尿病患者の行動の意味づけや、治療中断中にある患者の療養行動は明らかになっている。そのため、治療を継続している2型糖尿病患者の療養行動に対して意味づけするための要素を明らかにし、治療中断を防止できる支援モデルを目指す。本研究の方法は、慢性疾患看護専門看護師および糖尿病認定看護師が治療を継続している2型糖尿病患者と面接を行ない、療養行動に対する意味づけをデータとして収集する。次に面接事例の会話分析に取り組み、治療を継続している2型糖尿病患者の療養行動の意味づけをするための要素の仮モデルを作成する。 平成29年度は、2型糖尿病患者との面接事例を収集することを目的とし、4例のデータ収集を行なった。慢性疾患看護専門看護師および糖尿病認定看護師に研究の主旨を記載した研究協力を依頼した。研究協力の同意が得られた場合のみ、所属する施設長に研究説明を行ない、データ収集を開始した。データ収集する中で、2型糖尿病患者の治療を継続している要因として、療養行動を自己責任として一方的に患者に任せるのではなく、患者が医療者と協働して療養生活を送っていると捉えることが1つの要因として挙がっている。本研究を進めることで、医療者のどのような関わりが患者の療養行動を継続していける要素となるのかを具体的に明らかにすることは、看護援助の重要な要素となってくると考える。今後も研究を進め、治療を継続している2型糖尿病患者の療養行動の意味を明らかにすることで、2型糖尿病患者の治療継続に向けた看護における援助技術の開発に貢献できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度は、2型糖尿病患者との面接事例を収集することを目的とし、予定事例20例の内、4例のデータ収集を行なった。現在は1施設でデータの収集を進めており、他施設で倫理委員会への研究計画書の提出を進めている。本年度は、面接事例の収集、面接事例の分析を行ない、来年度は療養行動の意味づけを構成する要素の洗練という順番で取り組む予定である。研究が大幅に遅れる場合は、面接事例の収集と面接事例の分析に傾注して研究を遂行することで中核となる治療を継続している2型糖尿病患者の療養行動に対する意味づけの要素の抽出が明らかになるように調整する。研究が遅れている理由として、面接事例を録画することが実施する施設での倫理委員会で承諾を得ることが難しいことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の研究の推進方策は今年度に継続して、半構成化面接を実施し、データを収集する。その後、面接場面の逐語録を作成し、逐語録の会話分析に取り組み、療養行動の意味づけを構成する要素を明らかにする。平成31年度は、他研究者や実践家の意見を取り入れるため、ワークショップを実施して療養行動の意味づけを構成する要素を洗練する。最終的にこれらを統合して治療を継続している2型糖尿病患者の療養行動の意味づけの要素の仮モデルを作成する。 データを収集する上で、実施する施設で面接事例を録画することが倫理上、困難な場合が生じている。対応策として、データ収集の方法を面接事例の録画に固辞せず、面接事例の録画が難しい場合は面接場面をICレコーダーで録音する等、データ収集の方法を適時変更していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度はデータの収集(慢性疾患看護専門看護師および糖尿病認定看護師が治療を継続している2型糖尿病患者と面接場面)が遅れており、平成30年度に面接データの収集とデータ分析をおこなう予定である。そのため、データ収集に伴う旅費や研究対象者への謝礼、データ分析に伴う逐語録の作成やデータ管理者の雇用などに助成金を使用する予定である。
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