研究課題
がん患者を介護した遺族は、精神的健康に関する問題を抱えることが多いことが知られている。これまでの報告により、一般病棟または緩和ケア病棟で亡くなったがん患者の遺族のQuality of Life(QOL)を高めるためには、患者の終末期に、患者と家族介護者が医療者からどのようなケアを受けたかということが重要であると考えられる。しかし、日本では遺族を対象とした縦断研究が行われておらず、エビデンスに基づいた死別前からの継続的な支援が行われているとは言い難い。そのため、本研究は、家族介護者が認識するケアの満足度の視点に着目し、緩和ケア病棟に入院中の終末期がん患者の家族介護者のケアの満足度と、患者と死別後6か月時点のQOLとの関連を縦断的に検討する。続いて、終末期の入院中のケアの満足度に着目した、遺族のQOLを高める医療者向けの支援プログラムを開発することの2つを目的とした。これらの目的を達成することにより、患者の終末期の入院中から遺族のQOLを見据え、終末期がん患者の家族介護者への具体的なケアのポイントを医療者間で共有できることは意義が大きいと考える。昨年度完成させた研究実施計画書をもとに、今年度は2施設(3緩和ケア病棟)にて調査を行った。緩和ケア病棟に入院する患者の家族介護者142人に調査票を配布し、126人から回答を得た。回答を得られた126人のうち、死別後6か月を経過した遺族119人に調査票を配布し、103人から調査結果を回収した。90例の目標症例数に到達し、現在データ入力を進めている。
2: おおむね順調に進展している
研究当初の年度計画通り、目標症例数に到達し、データ収集が完了できた。このため、計画通り順調に進展していると考えた。
データ入力が完了した後、当初計画していた解析を速やかに進めて主要な報告を学会・学術論文にて行う。可能であれば、研究協力者とともに、サブ解析の計画・遂行を行う。
年度内に研究発表まで至らなかったため、差額が生じた。使途として、英文校正、学会発表、オープンアクセス料金を計画している。
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