がん患者を介護した遺族は、精神的健康に関する問題を抱えることが多いことが知られている。これまでの報告により、一般病棟または緩和ケア病棟で亡くなったがん患者の遺族のQuality of Life(QOL)を高めるためには、患者の終末期に、患者と家族介護者が医療者からどのようなケアを受けたかということが重要であると考えられる。しかし、日本では遺族を対象とした縦断研究が行われておらず、エビデンスに基づいた死別前からの継続的な支援が行われているとは言い難い。そのため、本研究は、家族介護者が認識するケアの満足度の視点に着目し、緩和ケア病棟に入院中の終末期がん患者の家族介護者のケアの満足度と、患者と死別後6か月時点のQOLとの関連を縦断的に検討する。続いて、終末期の入院中のケアの満足度に着目した、遺族のQOLを高める医療者向けの支援プログラムを開発することの2つを目的とした。これらの目的を達成することにより、患者の終末期の入院中から遺族のQOLを見据え、終末期がん患者の家族介護者への具体的なケアのポイントを医療者間で共有できることは意義が大きいと考える。 最終年度である前年度は、データ入力と固定、プライマリーアウトカムに対する主解析と考察までを行い、英文学術雑誌へ投稿した。
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