研究実績の概要 |
約4人に1人がDV被害を受けており(内閣府, 2015)、DVとうつ病等の精神疾患やストレス関連疾患との関連があること、DV家庭で育った子どもにとってDVは虐待であり、PTSDや多動といった発達障害との関連が明らかになっている(WHO, 2013 )。DVは健康に悪影響を与えることからも、看護者はDVを早期に発見・支援する必要がある。しかし、日本における保健医療者へのDV教育はまだまだ進んでいない。そこで、本研究は周産期及び育児期におけるDV被害者支援のための看護者のコンピテンシーを明らかにすることを目的として研究を行っている。本年度は、助産師等の看護者を対象に、DV被害者支援に必要な知識や技術の研修を実施し、DV被害支援に関する認識や支援をする上でのニーズを明らかにした。 研究方法:研究対象者は中堅助産師10名。研修プログラムの目的は、DVの看護ケアに関連する知識、技術、態度が向上することとし実施した。研修内容は、①なぜDV被害を受けても別れないの?②DV被害を受けていた女性の妊娠、出産の体験と被害女性の回復に影響を与えた助産師の関わり、③DVと子ども虐待との関係、④DV被害者の早期発見、介入方法、とした。研修会後、DVの認知度、DV事例の対応経験の有無、DVに関する知識、理解度、について尋ね、結果を分析した。 成果及び今後の展望:10名全員が、臨床現場においてDV事例に出会った経験があった。助産師は「DVの知識」「女性の健康への影響」「DVの子どもへの影響」「DV被害者への対応」「DV被害者心理」「DV加害者心理」に関心を寄せ、知識を得たいと回答した。研修会後のDVの認知度については、DV該当項目全て正解し、DVに関する理解につながっていた。今回の結果を踏まえ、本年度はDV被害者支援の現状と支援の実施程度、課題を明確にし、コンピテンシーの抽出を行っていく予定である。
|