研究課題
平成30年度は、前年度までに得られた結果を検討した上で、血液中オキシトシン(以降血液中OXTとする)値やそれに影響を与えると言われている血液中コルチゾール値の測定を行い、それらとの関連要因を検討することを目的とし、下記の3点を実施した。ヒト体内でのオキシトシンの変動をより正確に把握でき、唾液中のみの測定よりも信頼性の高い研究結果を得られると考え、当初の計画であった唾液中OXT値以外にも血液中OXT値および血液中コルチゾールを測定する計画を追加した。1.倫理委員会承認の上で研究計画を修正し、唾液中のみでなく血液中OXT値および血液中コルチゾール値を測定することとした。妊娠中の対象者38名に説明し同意を得た。そのうち妊娠後期、分娩前中後を母体血液採取時期とし、この他に胎児側のOXT値を把握・母子間の影響を検討するために当初の計画に追加して臍帯血を採取した。また、唾液採取時期を経膣分娩後3日目、帝王切開術後5日目とし、唾液採取と同時に疲労・ストレス測定システムによる自律神経機能の測定を行なった。2.1.の対象者に対して児への愛着形成の評価を行うために、新たに花沢氏が作成した「対児感情評定尺度」と「The Maternal Attachment Inventory(MAI日本語版)」およびKumarとMarksらによって考案され、吉田が日本語版として翻訳した「赤ちゃんへの気持ち質問表」を追加した質問紙調査を配布し回収した。3.血液中OXT値および血液中コルチゾール値に関連するその他の産科学的要因について検討した。現在はデータ集積の途中段階である。平成31年度は最終年度として得られた全てのデータを分析し、結果をまとめていく。血液中OXT値と唾液中OXT値との相関関係や、コルチゾール値との関連、その他関連する項目の分析を行っていくための準備を行っている。
3: やや遅れている
血液検体の集積に時間を要し、唾液検体の集積が思うように進んでいない。データ数を増やす必要があり時間を要しているため、データ分析がやや遅れている。
これまで測定したデータ解析においては、現在も解析を進めている途中である。当初予定していた唾液中検体の測定値のほかに、今年度研究計画を修正し追加された血液中検体の測定値についてはデータ数をさらに追加し、基本的属性や産科学的要因についても関連を検討していく。平成31年度は最終年度として、これまでに得られたすべてのデータを解析し、研究成果としてまとめていく。
当初予定していた研究計画に修正の必要が生じ、検体収集およびデータ測定がやや遅れたためにその費用を平成31年度に繰り越した。平成31年度は残りのデータ測定やそれに必要な消耗品購入、学会発表及び論文発表に使用する予定である。
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長野県看護研究学会論文集
巻: 39 ページ: 7-10