研究課題/領域番号 |
17K17470
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
清水 彩 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (90552430)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 早産児 / ファミリーセンタードケア / ヘルスリテラシー / 新生児集中治療室 / ICT / 家族 |
研究実績の概要 |
新生児集中治療に入院する子どもの家族向け情報提供・活用を支援する媒体の開発を目的として、目標1)新生児集中治療室に入院する子どものご家族が期待するコンテンツ【媒体作成】をめざし内容と情報提供方法を、目標2)日本の医療・文化下での適切さを考慮した【評価指標作成】をめざし質問紙の吟味を行った。 【媒体作成】のコンテンツは、UCSFが作成したBooklet(Frank, 2017)等の海外の家族向けツールの内容やデザインを検討した。一般的な情報提供の内容は、早産児の特性、1日の流れ、環境調整、お子さんの反応(睡眠を含む)、お子さんへのケア、お子さんにとってのご家族、退院後の様子等であった。文献検討後の検討事項として、「体動」については、その重要性を強調されているが、医療者と家族との間での情報提供の実際の他、信頼性や妥当性の検証が曖昧なため、工学の専門家を交えた実態調査を経て検討する。加えて、新生児集中治療に入院するお子さんのご家族(当事者)との交流から、相談先等の具体的な情報提供の必要性も確認された。 【媒体作成】の情報提供方法としては、Booklet版からICT版への移行について、看護師への事前聞き取りから実現可能性を検討した。その結果、ICT版の作成が期待されるが、院内のネット環境の制限や個人情報保護の観点から、ITの専門家の助言を経て、タブレット端末の運用で特定の病棟で進めることが現実的であることが確認された。 【評価指標作成】の質問紙の検討として、医療職者との関係に関する質問紙については、清水(2010)の『看護実践測定尺度』と『エンパワーメント測定尺度』については妥当性を確認し、我が国の総合/地域周産期母子医療センターの特性をとらえるツールであることを確認した。 以上より、平成29年度は、さまざまな専門家や当事者の協力を得て、内容や方法を現実的に精選することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度と平成30年度(次年度)での2年間で【評価指標作成】と【媒体作成】を予定していたが、当初予期せぬ、研究機関ならびに研究協力施設の倫理審査手順の変更があったため、混乱を回避するために、平成29年度の調査を次年度に見送り、平成30年度に予定していた計画を前倒して調整した。その結果、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、平成29年度の結果をもとに、【評価指標作成】と【媒体作成】の精選するための先行調査の実施を予定している。そして、評価指標と媒体の精選し、平成31年度の【介入研究】をめざす予定である。 【媒体作成】のコンテンツについては、先行研究より、早産児の状態を確認する「体動」について、その重要性は強調されているが、医療者と家族との間での情報提供の実際の他、信頼性や妥当性の検証について文献検討からは曖昧である。また、医療職者の経験値に依存した家族から見た情報不足が先行研究からも示唆されている。そのため、実態調査を医療職者が早産児の「体動」を児のサインとして読み取り、ケアに活かす過程をインタビュー調査(倫理審査申請中)で明らかにするとともに、児の状態を反映する指標としての「体動」を活用することの信頼性・妥当性の検証については、工学系の専門家を交え実態調査から明らかにする(データ分析中)。また、早産児のみならず、染色体異常、難病等の児のご家族との交流も通して、新生児集中治療に入院するお子さんのご家族の体験談を伺い、適切な情報提供を得るための相談先等についても情報収集を行う。 【媒体作成】の情報提供方法としては、Booklet版とICT版の両方の作成を進めていく。ICT版については、研究対象施設との調整を開始し、標準ケアとの混乱を避けるように、進めていく。 【評価指標作成】の質問紙について、ヘルスリテラシーを測定する尺度の検討を進める。また、質問紙の内容とともに、使用するタイミングや負担度も考慮して精選する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 平成29年度に、当初予期せぬ、研究機関ならびに研究協力施設の倫理審査手順の変更があり、平成30年度の計画との間で、調整を行ったため。 (使用計画) 倫理申請し、平成30年度に調査計画にて執行予定である。
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