研究課題/領域番号 |
17K17470
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
清水 彩 京都橘大学, 看護学部, 准教授 (90552430)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 早産児 / 家族 / 体動 / ファミリーセンタードケア / ヘルスリテラシー / ICT / 新生児集中治療室 / 環境 |
研究実績の概要 |
令和2年度は,新生児集中治療室に入院する子どものご家族が期待するコンテンツ【媒体作成】に取り組むために,(1)予期せぬ出産体験をしたご家族へのサポートに必要は看護者の取り組みに関する文献レビュー(計19文献)と(2)地域連携に向けての看護サマリから、入院中の要フォロー事項について調査結果をまとめた. 調査(1):①予期せぬ出産体験をしたご家族は、バースプランを叶えられていないことが多く、母親が語りたい時にバースレビューを行い、その後も、母親自身なりに意味づけができるような援助を行うことで,現状の受容が進むと示唆された.②産褥早期には,過度な疲労から育児やセルフケアが困難になってしまう状況にも陥ることがある.主観的疲労や心的不安定さなど身体的・心理的側面を把握した上で、継続的な関わりを通して、褥婦の退院後の家族からの支援状況、育児と休息のバランスを経時的に査定し、褥婦や家族の訴えを考慮しながら、現在の心身の状況を共有し、褥婦や家族と解決策を一緒に考えることで、褥婦が児や育児に対してネガティブな感情を抱かない範囲で、育児と休息が両立して産褥早期を過ごすせることにつながることが明らかとなった. 調査(2): 地域連携に向けての要フォロー事項としては、①こどもの入院中の経過、②両親に関する情報、③養育環境の準備、④連携強化に関する情報について,保健師は情報提供を期待していたが,診断に対する両親の受け入れや不安については,具体的な反応を含めた様子の提示や里帰りや地域で把握されていると考えていた家族構成や年齢の他、転居の経過等も考慮した情報提供が期待されていることが明らかになった. 以上より,令和2年度は,予期せぬ出産体験をした家族への院内における具体的なサポートの方向性や退院後のコミュニティーへ生活の移行支援といった家族の状態からみた配慮について集約することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初,令和2年度に周産期母子医療センターの看護や管理体制を明らかにした全国調査の結果をふまえて,必要に応じて追加調査を実施後にまとめることを計画し,媒体も臨床での撮影を前提とし,本補助事業の目的をより精緻に達成する計画修正を検討し,面会中に我が子の成長・発達への理解が深まり,母子関係が促進するためのヘルスリテラシー向上のツール作成を目指していた.しかしながら,COVID-19の感染拡大に伴う入室制限も重なり,本研究の研究対象である新生児集中治療室に入院するご家族とお子さんとのかかわりが一変し,面会時間が制限される等,研究計画の前提となる親子関係に大きな変化が生じたこと,研究者自身が臨床への立ち入りや臨床での撮影が困難となったこと,臨床の研究協力者との接点にも制約がかかったことから,研究計画の続行が困難となり,修正の検討を要す事態になった. 研究活動の継続に制約はあるが,新生児集中治療室に入院する子どもの家族が面会にも制約が生じている現状を鑑みて,計画修正の方向性を探索した.その結果,令和元年度は,治療中の子どもの状態から見た母子関係構築の支援のコンテンツを採用し,令和2年度は,予期せぬ出産体験をした家族への院内における具体的なサポートの方向性や退院後のコミュニティーへ生活の移行支援といった家族の状態からみた配慮について集約したことで,リモートで利用可能な我が子の成長発達に関するヘルスリテラシー向上をめざすツール作成をすることを目標とする研究計画に修正することにした.そこで,延長申請を行った.
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今後の研究の推進方策 |
【媒体作成】のコンテンツについては,ケア参加をベースとした沐浴,授乳,元気さ,ポジショニング,覚醒状態に関連する知識や方法の紹介に特化したものではなく,光線療法中の子どもの様子や成長に伴う体動の変化についても紹介する等,子どもと会える時間が短い家族の思いを鑑みて,リモートでも活用できるように変更し,複数の情報提供方法の提示を目指すこととした. 【評価指標作成】の質問紙について,お子さんの体動に関する情報を得ることは,へルスリテラシーが高まるのみならず,母親の育児への自信やメンタルヘルスの改善につながるが,協力者の負担にならないように,使用するタイミングや負担度も考慮して精選する.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)令和2年度の成果発表は,学術集会開催の延期等により,令和3年度に予定通り行う予定である.COVID-19の感染拡大に伴う研究活動の制約による計画修正のため,ツール作成関連の支出と成果報告については,次年度に繰り越しとなり,次年度使用が生じた. (使用計画)延長申請が承認され,令和3年度の実施計画にて執行予定である.
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