令和4年度は,【媒体作成】については,対象にツールを提供するのに適切な時期について検討するために,(1)予期せぬ妊娠・出産・育児に関するバースレビューによる抑うつ状態を予防する取り組みを明らかにするために和文献のレビューを行った.また,【媒体評価】のために,(2)ツールのパイロット試験を実施して,妥当性の評価を行った. 調査(1)妊娠・出産において,予期せぬ経験をした妊産褥婦(例えば,不妊・不育症の治療,分娩様式の変更,想定外の医療介入等)は,正常な経過をした場合に比して,肯定的な出産・育児体験と認識することが難しいことが予測される.しかしながら,一時的に否定的な認識を持ったとしても,肯定的な認識を無理に強制せず,妊産褥婦のペースで育児支援を継続することで,肯定的な経験へと認識が変化すると報告されていた.よって,ツールを使用する時期については特定せず,また,妊産褥婦のみならず,家族で理解するための支援を対象とすることとした. 調査(2)ツールの妥当性の検証について,(NICU面会制限が継続されている状況を考慮して,)かつてNICUにお子さんがご入院されていたご家族に,Web調査によるパイロット試験を行った.その結果,内容については,国内のNICUにおいても,内容について肯定的である回答を得られた. 以上より,令和4年度にて,新生児集中治療室に入院する子どものいる両親へのツール(PDF版)を作成し,パイロット試験により,内容妥当性の検証まで終了した.今後,(社会情勢とともに)面会制限が緩和することができ次第,新生児集中治療室に入院する子どものいる両親を対象として,早産児を理解し親子のかかわりを促進するためのツールの妥当性の検証/媒体のフォームの検討に進むことが期待される.
|