研究課題/領域番号 |
17K17472
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
北尾 真梨 九州大学, 医学研究院, 助教 (80778811)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | NICU / Pre Death期 / 精神的負担 / ストレス / 看護師 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、治療に関する明確な倫理的意思決定がなされないまま長期(出生から1か月以上)にわたり状態が変化しない、もしくは緩やかに悪化し、死亡退院に至った児をケアする看護師のPre Death期における精神的負担とその要因を明らかにすることである。 そのため全国調査を行う前段階として、実際にNICUで働き、子どもの死亡退院にかかわった経験のある看護師8名への聞き取り調査を実施、その結果を逐語録にまとめている。今回はPre Death期における精神的負担とその要因を明らかにするため、Pre Death期以外のActive Dying期、After Death期のケア、精神的負担の有無、その理由についてもインタビュー調査にて聞き取りを行った。 また、新生児死亡のほとんどがNICUで起こっているが、その死は両親のみならず看護師にも精神的に衝撃を与えると言われている。特に、十分な理解や経験のない看取りの経験が看護師に大きなストレスを与える。そこで、NICU看護師が実際に直面する子どもの状態に関するセミナーを受講した。また看護師が子どもへ提供するケアや、子どもと家族へのかかわり方などを外部のセミナー講習にて学び、NICU看護の実際を理解した。 さらに、前段階調査として行っていた調査研究の公表手続きを行った。この調査では、看護師の遺族支援の際の精神的負担は高く、職場の取り組みの有無や個人での対処は負担感の軽減に寄与しないという結果が得られている。この調査結果をもとに、Pre Death期、Active Dying期、After Death期のケアの特徴と看護師の精神的負担の要因についてさらに深く検討し、看護師のメンタルヘルスケア及び職務負荷の軽減に寄与し、ひいては児や家 族に対する質の高いケア提供のための現場でのマニュアル作りに貢献することを今後の目標としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、治療に関する明確な倫理的意思決定がなされないまま長期(出生から 1 か月以 上)にわたり状態が変化しない、もしくは緩やかに悪化し、死亡退院に至った児をケアする看護師 のPre Death 期における精神的負担とその要因を明らかにすることである。そのため当初の計画では、平成 29 年度に対象となる看護師にプレインタビューを行い、Pre Death 期での看護師のケアと精神的負担の有無、その要因についてまとめた結果をもとに質問紙の作成と配布による全国調査を実施することであった。 現在の進捗は、プレインタビューの実施とその結果のまとめまでを終えている段階であり、質問紙作成と配布までは至っていない。理由としては、プレインタビュー結果の解析に時間を要していることである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、速やかにプレインタビュー調査の結果をまとめ、質問紙のたたき台を作成することである。また、同時進行として全国の周産期施設の所在地をまとめ、質問紙調査の研究依頼を行う。 8月までに質問紙を完成させ、12月中に回収を終え、解析に進むことができれば、研究結果を平成30年度中にまとめることが可能となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は、質問紙の作成と配布に使用する部分の予算が研究の進捗状況により使用しなかったため、次年度に繰り越しとなった。
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