研究実績の概要 |
平成29年度に実施した「女性看護師の睡眠とレストレスレッグス症候群の関連」の調査結果から、交代勤務に従事する看護職の主観的睡眠の質について追加分析を行った。勤務形態に関わらず主観的な睡眠の質が低下している看護職は高率であり、入眠困難を主体とする不眠が睡眠の質に関わっていた。そこで、個人の睡眠に影響を及ぼすとされるクロノタイプ(朝方・夜型)に着目し、睡眠状況と日中の眠気の関連性を客観的指標を用いて明らかにすることを目的とし調査を実施した。第1段階は、今後シフトワーカーとして就労する看護大学3・4年生を対象とし、質問紙調査を実施した。睡眠の評価にはミュンヘンクロノタイプ質問票日本語版(MCTQ)、エプワース眠気尺度日本語版(JESS)を用いた。110人に配布し、81人(73.6%)を分析対象とした。クロノタイプの分類は休日の睡眠中央時刻から朝方・中間型・夜型の3群に分類し、大学3年生は朝型、中間型が多く、4年生は夜型が有意に多かった(p=0.049)。日中の眠気(JESS総得点11点以上)との関連は、3年生は夜型の得点が高く、4年生は朝型・夜型ともに高かった。第2段階は、4年生の朝型5名、夜型13名を対象とし、身体活動量計測器(アクティグラフ)、精神動態覚醒水準課題(psychomotor vigilance test:PVT)を用いて客観的評価を実施した。クロノタイプと睡眠変数の関連では、夜型は朝型に比べ入眠・覚醒自覚が後退しており、夜型の平日の覚醒時刻、休日の入眠時刻が有意に後退していた(p=0.024,p=0.026)。また、日中作業精度はPVT正答率では朝型は終日高く、夜型は夕方にかけ上昇していた。反応速度は、朝型は終日一定を保つが、夜型は夕方にかけ反応速度が短縮していた。今後は大学生から入職後1年目までの睡眠の変化についてコホート調査を実施する予定である。
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