助産師は、妊婦が正常な経過をたどり、正常分娩、さらに母児が健康的に新しい生活を送ることができるよう、妊娠初期から継続的なケアを行っている。そのために、妊婦健康診査において、妊婦が正常な妊娠経過をたどっているかどうかを判断し、正常経過を維持するためにどのようなケアが必要かを判断し、ケアを実践している。その過程で、妊産婦との良好な援助関係を構築し、個々の対象への理解を深めながら個々の対象に合わせた自律的な助産ケアを行っていると考えられる。妊婦健康診査は、妊娠時期に応じた母子の健康状態を正しく評価することが目的であり、この評価に基づいて、母子の潜在的な健康リスクに対して予測的に対応するとともに妊娠経過の正常逸脱を予防し、さらなる健康増進を図っていくものである。今回、妊婦健康診査において、助産師がどのように対象に関して情報収集し、アセスメントを行い、正常経過を導くためのケアに繋げているかを明らかにし、臨床判断に関する現任教育プログラムを開発することとした。助産師が個々に持つ専門的知識や技術の積み重ねである臨床知識を明らかにすることであり、妊娠期ケアの方法論の新たな知見として、助産師現任教育の課題である妊娠期のケアに関する実践能力育成に活用することができると考えた。これまで、本研究の分析を通して、「助産所での妊婦健康診査における超音波検査を活用した助産師の情報収集」を明らかにした。さらに、助産師が母体と胎児の健康状態に必要な情報を収集し、7つの方法を用いて、正常な妊娠かどうかを3つの視点を用いて解釈しており、その解釈に基づいて、異常として医療機関を連携する、より正常に経過するためのケアの選択、異常にならないためのケアの選択を行っていた。この結果を基に現任教育プログラムを考案した。
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