研究課題/領域番号 |
17K17482
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
入江 亘 東北大学, 医学系研究科, 助手 (60757649)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 小児がん / 家族 / がんサバイバーシップ / Posttraumatic Growth / 間合い / 意味づけ / 子ども / ケア |
研究実績の概要 |
本年度は,前年度に引き続き造血器腫瘍を抱える子どもの闘病体験を親が意味づけていく過程の解明,理論の産出を目指したインタビュー調査の実施と,本年度より本格的なデータの分析を行った。最終的に17名の親と7名の医療者から得られたインタビューデータを分析した。 分析においては,研究に用いる概念を洗練させるために着目したPosttraumatic Growth(PTG)が生じる過程に焦点を当てた。結果としてPTGに達する内的プロセスは,白血病の子供をもつ親がPTGに達する内的プロセスは,親ががんとの間合いをとれるように臨むなかで生じており,親はがんという間をとる対象の存在を受け入れること,対象と向き合うこと,動的な対象との安定した関係(間合い)を築くことに着目していたことが明らかとなった。これらのプロセスを推し進めるうえでは,内的な熟考というよりも実生活への順応を通した現状への統制感覚の確保が重要であることが明らかとなった。さらに,こうした子供のがんとの動的でありながらも安定的な関係(間合い)を取り直すなかで,親は子どものがんを抱えながら生活を送るなかで経験した大切にすべきことを考えたり気づく機会を通して,自分にとって真に大切な物事がわかること(PTG)を経験していた。こうしたプロセスを下支えする要素として,一緒にいてくれる存在や自分をとりまく温かい環境,気持ちのもち方や考え方,生活のこなし方を導いてくれる存在,背中を押してくれる存在があることがわかった。 上記結果を踏まえ,当初計画していた,小児がん経験者家族に対する横断的質問紙調査における内容の焦点化や,調査方法の再検討を行った。医療者を対象に加えること,入院生活の順応に焦点を当てた質問紙構成とすることなど,研究デザインの洗練を図ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データの収集から分析へと研究段階を進めることができ,分析もほぼ完了したため。また,研究成果を発表できたため。
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今後の研究の推進方策 |
まずは小児がん経験者家族および小児がん臨床に携わる医療者に対する横断的質問紙調査あるいはインタビュー調査を行い,親の小児がんの闘病生活への順応をサポートするうえでの必要なケアを明らかにすることを目指す。 本研究課題は小児がんを抱える子供の闘病体験を意味づけていく親への看護支援プログラムの開発であるが,本年度の研究から診断後から治療初期における支援の重要性が伺えたことからも,特にその時期のケアに焦点化してプログラム開発を進めていくこととする。
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