本研究の目的は、脳室内出血もしくは脳質周囲白質軟化症を合併し、脳性麻痺発症のリスクが高まった早産児の両親の父親役割遂行に向けた調整を支援する、新生児集中治療室(以下、NICU)における看護援助を明示することであった。本研究により、脳性麻痺発症のリスクが高い早産児の両親の父親役割遂行に向けた調整を支援する、NICUにおける看護援助として、①アセスメント指標、②看護援助の概念枠組み、③看護職の行動指標、さらに初定期外来受診時に使用する④評価指標を完成させ、これらを含む実践マニュアルを作成した。 令和元年度は、研究成果の普及・公表活動として、①アセスメント指標を令和元年8月に開催された第18回日本ウーマンズヘルス学会学術集会において発表した。②看護援助の概念枠組みの成果の一部を令和元年8月に開催された日本小児看護学会第29回学術集会において発表し、その後、英論文を公表した。③看護職の行動指標を令和元年11月~12月に開催された第39回日本看護科学学会学術集会において公表し、その後、論文投稿した。④評価指標を令和2年2月に開催されたThe 6th International Nursing Research conference of World Academy of Nursing Scienceにおいて発表した。また別途報告書を作成し、研究協力施設および対象者への報告を行った。 研究期間内において、研究計画作成時に予定していた、作成した看護援助を用いたパイロットスタディを行うことはできなかったが、計画を一部変更したことで、より臨床に即した形での看護援助を作成することができた。世界的に早産による問題が指摘されている今日において、父親役割に着目した看護援助を作成したことで、脳性麻痺発症により生じる危機を家族全体で乗り越えることに寄与する可能性がある点に、本研究の意義がある。
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