研究課題/領域番号 |
17K17486
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
新福 洋子 広島大学, 医系科学研究科(保), 教授 (00633421)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / 助産学 / ICT / 妊娠期教育 / アフリカ |
研究実績の概要 |
妊産婦死亡率の改善が喫緊の課題であるタンザニアにおいて、妊娠・出産に携わる助産師には継続教育の機会が非常に限られる、もしくは皆無である。本研究の目的は、助産師とTBAが妊産婦の合併症を予防・早期発見するケア力を強めるため、Information and Communication Technology (ICT)を活用し、1)WHOの新ガイドラインに沿った妊娠期ケアに関する最新の知見をWhyとHowをイラスト付きで解説、2)助産ケアや危険なサインに関する動画、3)早期発見チェックリスト、を組み合わせた教材アプリを開発し、教育効果を評価することである。 3年度目であった本年は、タンザニアと日本における研究倫理審査の追加審査を終え、8月に研究チームがタンザニア訪問にて現地調整を行い、共同研究者にデータ収集先での許可取得、アシスタントの確保等の現地フィールドでの調整を依頼した。共同研究者と研究実行に必要な機材と費用を具体的に相談し、現地での研究遂行ができる様に準備した。その準備と手続きに半年かかったが、ようやく2月にもう一度渡航をしたことで実証研究のデータ収集がスタートでき、アプリ導入とプレテストを終え、妊婦に対するベースライン調査としての出口調査を遂行した。導入後1ヶ月間のアプリの使用率は継続して高く、アプリ使用者と研究チームがアプリ上でコミュニケーションを行うことで遠隔でのディスカッションが進み、タンザニアの助産教育における遠隔教育の実行可能性と、助産師の認識について一定程度の理解を進めることができた。コロナ禍で中断したコントロール群のアウトカム調査のデータ収集が残っていること、取得したデータの分析、論文作成に時間が必要であるため、研究期間の延長を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に沿って助産師教育アプリを開発し、現地での調整、助産師による試用を経て修正し、教材の使用に関する細かい情報を収集できる形で実証実験に移行した。タンザニア都市部での二箇所のヘルスセンターにて、介入群とコントロール群をランダムに割り付け、介入群の施設の病院助産師24名にアプリをダウンロードしてもらい、プレテストを実施、現在学習継続と終了時のポストテスト実行をフォローアップ中である。コントロール群でもデータ収集が終われば計画終了となる予定であったがが、新型コロナウィルス感染症による渡航制限、病院におけるデータ収集であるために、現地でのデータ収集制限が始まり、中断せざるを得ない状況になったため、期間を延長した。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症による渡航制限、現地でのデータ収集制限は、研究者の意向ではどうにもできない状況であるため、状況収束を待つ。収束後、最後のデータ収集を再開し、研究終了に向かわせる。現時点で研究者の渡航が不可でも、現地の共同研究者、研究協力者によってデータ収集自体は実施できる体制にあるため、現地でのデータ収集制限の解除報告があり次第、再開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度の期間延長で、366,087円の残額を使用する。学会発表に使用する計画であったが、コロナ禍のために学会は相次いでキャンセルになった。そのため、残額は論文の英語校閲や出版費用に使用する計画である。英文校閲費用に約10万円、出版に到ればその出版費用に30万円前後かかる予定であるため、残額を当てる(採択される雑誌、ドルやユーロと円の為替によって具体額が変わる)。
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