重症心身障害児を対象としたレスパイトケアの効果的活用を促進することを目的に、下記を実施した。 まず重症心身障害児を養育することによる家族への影響を測定可能な尺度The impact on family scaleおよびThe impact on family scale general日本語版を、ISPOR(International Society for Pharmacoeconomics and Outcomes Research)タスクフォースの尺度翻訳ガイドラインに沿った方法で翻訳し、信頼性・妥当性を検証した。The impact on family scaleは、アメリカの小児科医であるSteinらによって作成されたリッカートスケールで、5ドメインを有し、回答に約10分を要する。なお予備的調査として、18 歳未満の子どもを養育する家族の育児負担感調査を実施した。The impact on family scaleおよびThe impact on family scale generalは、十分な内的整合性、併存妥当性を有することが確認できた。両尺度の開発により、健康問題を有する子どもの養育が家族に与える影響、子どもの養育が家族に与える影響を測定可能となった。 次にレスパイトケア活用を促すリーフレットを作成した。オタワ個人意思決定ガイドを参考に、レスパイトケア活用推進ツール(リーフレット)の構成を検討した。また適切な情報提供が必要な項目では、レスパイトケアに関する先行研究の文献検討と行政公開資料等によって、内容の質を担保した。システマティックレビューの成果をもとに、介護負担感への効果を明記する。また、専門家へのヒアリングにより予備的な効果検証を行った。今後、本リーフレットを用いてレスパイトケア促進の活用をさらに大規模に検証することが可能な状況が整った。
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