本研究の目的は、先天性心疾患をもつ学童期の子どもに対して母親が行う病気説明の構造を明らかにすることであり、第一研究と第二研究で構成している。第一研究では、先天性心疾患をもつ学童期の子どもの母親を対象として、幼児期・学童期までの発達段階ごとの子どもに行ってきた病気説明の内容、病気説明の内容選択に影響した要因について半構成的面接を行った。平成30年度までに調査を計画通り終了、分析を行って論文としてまとめ、日本小児看護学会誌28巻に掲載されている。 今年度は令和元年度から引き続き、第二研究における先天性心疾患をもつ学童期の子どもの母親を対象とした無記名自記式質問紙調査を行った。調査内容は、母子の属性、子どもの社会適応能力、子どもに対して母親が行う病気説明の選択基準とした。8月まで調査行い、その後分析を行った。結果から、母親が行う病気説明の選択基準に対して、具体的な言語スキル、社会生活スキル、日常生活スキルの関連が明らかになり、子どもの成長発達に配慮した支援を示唆できた。内容は論文化し、学会誌投稿の準備を進めており、その一部は第68回日本小児保健協会学術集会にて発表予定である。 さらに今年度は、第一研究のデータの二次分析を行い、母親による病気情報認識のプロセスを明らかにし、母親が病気情報を説明実施可能と認識するためには、理解の向上、必要性の認識、手段の確立の3つの条件が必要であることを明らかにし、これらを補うことが医療者による支援の針路となることを示した。この内容についても学会誌投稿を進めている。 研究実績を通し、子ども自身が病気理解を向上し、セルフケアや自我同一性確立などの疾患を持ちながら成長・自立していく上で重要な知見が得て、発信することができたと考える。
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