研究課題/領域番号 |
17K17494
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研究機関 | 関西国際大学 |
研究代表者 |
本田 真也 関西国際大学, 保健医療学部, 講師 (70619692)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 先天性心疾患 / 小児慢性疾患 / 小児医療から成人医療への移行 / 移行期における看護 / 小児 |
研究実績の概要 |
本研究は看護師や医師、他職種と協働して先天性心疾患をもつ子どもとその家族への成人移行期支援とその支援体制の構築をアクションリサーチの手法を用いて行うものである。今年度は成人移行期にある先天性心疾患の子どもとその家族への支援体制を構築する過程、その過程で必要となる構成要素を明らかにすることを目的として研究を進めた。 まずは実際にアクションリサーチを行うフィールドとの調整から始めた。それに先立って研究目的・内容を研究協力予定部署である外来の管理者に具体的に説明できることを目的として研究協力予定施設・部署での事前調査行った。その結果、研究協力予定部署において、すでに小児慢性疾患の移行期支援について取り組み始めている状況にあることが分かった。研究協力への承諾が得られた後、より現状に即したアクションを行うために、研究協力部署における移行期支援の取り組みの現状調査として、看護師の援助場面の参加観察とインタビューをアクションに追加した。その結果、いくつかの疾患における成人移行を意識した継続的な看護援助とその具体的な看護援助の内容、援助の過程、スタッフ間の看護援助の違いなどが言語化できた。それらの結果と今後の取り組みの方向性を再度説明し、スタッフの研究協力への承諾が得られた。また、本研究では先天性心疾患を主な研究の対象とするが、スタッフは他の小児慢性疾患の移行期支援への活用についても考えることとなった。 その後、本研究における移行期支援を行うためのツールの一つとして移行期支援ケアマップ(案)の作成に取り掛かった。これはすでに研究協力施設のスタッフが行っている支援に加え、先行研究で明らかにされている支援を追加し、年齢別に整理したものである。循環器内科外来において看護師の援助場面に立ち会い、ツールの活用の可能性を検討するとともに、スタッフからの意見をもとに修正を重ねている途中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通りに研究協力施設への研究依頼、アクションリサーチの開始ができている。しかしながら、実際に先天性心疾患の子どもと家族への成人移行期支援を進めていくにあたっての準備の一つとして、移行期支援ケアマップ(案)の作成は進んでいるが、その他のツールや看護師への移行期支援に関する教育などは計画中である。また、成人移行期にある先天性心疾患の子どもとその家族への支援体制を構築する過程で必要となる構成要素についてもデータ収集を行っている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、作成中の移行期支援ケアマップ(案)の完成させ、その活用方法について研究協力者(スタッフ)への説明を行い、先天性心疾患の子どもと家族に対する支援を開始する。そして、実際に支援を行う中で起こってくる出来事とその対処を明らかにすることで、成人移行期にある先天性心疾患の子どもとその家族への支援体制を構築する過程で必要となる構成要素を洗練していく。 また、これまでの研究の結果として、現状調査と移行期支援ケアマップの作成についてまとめ、学会発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究費の大部分を研究協力施設への交通費として計上していたが、実際に研究協力施設へ出向いて行うデータ収集の開始時期が遅れたため、予定通りの交通費を使用することができなかった。また、アクションの内容を変更し、研究協力施設における小児慢性疾患の子どもと家族への成人移行期支援の実際の現状調査の段階を加えたため、当初の計画で予定していた移行期支援を行う段階で必要となる教材などの準備が遅れているためである。 今後、定期的に研究協力施設に出向き、データ収集を行っていくこと、研究に関する情報収集と発表のために交通費を支出する。また、子どもと家族への支援を行うために必要な教材を順次、購入する。
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