最終年度となる令和5年度は,令和4年度に引き続き,『在宅医療を受ける慢性疾患患者がいる家族を支援する訪問看護師による家族コンコーダンス形成力の構造』について,再分析の過程に取り組み、質的統合を完了した.さらに,臨地での家族支援を実践する看護師にとって,活用可能な概念枠組みを構築するため,概念そのものや概念構造,概念同士の関連性についても分析を完了した.また,臨地への応用を前提とした当該構成要素への影響因子および帰結に関する定性的分析が完了した.さらに、家族を対象としたインタビュー調査では、当初の予定とおりインタビュー調査を再計画していたが、まずは既存の対象家族のデータで一次分析を行い、その分析結果をもとに、在宅医療が必要な子どもをもつ家族を対象とした継続比較分析を行い、家族がもつ家族コンコーダンス形成力の概念をさらに洗練していく方針となっている。 初年度より実施した国内外の個人コンコーダンスならびに家族のコンコーダンスに関連する文献検討ならびに、家族および訪問看護師を対象としたインタビュー調査によって導出された家族コンコーダンスならびにその形成力、影響因子、帰結の概念構造を定性的に明らかにすることができたといえる。 これらが完了したことにより、洗練の余地はあるものの本概念の家族ケア/ケアリングモデルへの統合が実現し、理論ベース(エビデンスベース)の看護実践の示唆を臨地へ還元できる準備が整った.
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