本研究の目的は、ピアサポーターが地域において、どのような生活を送っているかの生活実態について明らかにすることである。 平成29年度から平成30年度では、本研究の前段階の研究として、ピアサポーターの活動内容に関するこれまでの文献について文献研究を実施し、ピアサポーターの活動がどのような場所、内容で実施されているかを明らかにし、国際学会で発表した。また、学会への参加により、本研究に関する最新の情報を収集した。 平成31年度から令和元年度では、本研究の研究対象者となるピアサポーターの講演会、学会、当事者団体の会に参加し、研究対象者の募集と本研究に関する最新の情報を収集した。本研究に関して、倫理審査委員会の申請書を作成と承認を得た。 令和元年4月から令和2年3月までにピアサポーターを対象にICレコーダーを用いた聞き取り調査と2種類の評価スケールを用いて、健康状態、QOLについてデータ収集を行った。本研究では、研究同意を得られた30~50歳代の男女計11名を対象にデータ収集を実施した。その後、聞き取り調査のデータについて、NVIVOにて質的分析を行い、評価スケールについては量的分析を行った。本研究によって、ピアサポーター活動を実施する生活背景や活動内容に様々な種類があり、労働時間、賃金の発生の有無やピアサポート研修受講の有無にもばらつきが見られた。また、生活背景においては、ピアサポート活動に伴う受診行動や食行動への困難感より、活動実施による自己肯定感や自己管理への意欲向上につながる結果が得られた。本研究では、ピアサポーターの幅広い活動内容と様々な生活背景、ピアサポーター自身が生活調整を実施している点が得られため、ピアサポート活動の一層の推進と活動継続するための支援者側の支援のあり方について検討できる重要な研究となった。今後、結果、考察について、各学会発表と学会誌への投稿を進める予定である。
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