研究実績の概要 |
本研究の目的は、認知症高齢者の在宅介護者の主観的な介護認識と介護行動の関連性を検討し、介護の認識・行動の両側面からの在宅介護支援方法を検討することである。 平成30年度は、前年度からの継続した予備調査と結果の解析を行った。予備調査では、9名の認知症高齢者の在宅介護者に調査を行い、主観的な介護負担と介護行動時の脈拍変動等では関連が認められなかったが、介護行動前後の脈拍変動に差異が認められた。この結果より、介護者の客観的な身体状況及び負担を測定する必要性が示唆された。 予備調査の結果に基づいた、本調査を継続して行っている。具体的な研究方法として、認知症高齢者を在宅で介護している家族介護者を対象者とした。調査方法は、調査票を用いた聞き取り調査と測定器具を用いた調査を実施している。研究協力を得た地域にある医療機関を介して、研究者が対象者への聞き取り調査、身体状況の測定及び介護状況下における連続した身体活動について機器を用いた測定を継続している。介護状況下における測定機器による調査時期は、研究同意を得られた対象者に、聞き取り調査から3日間の測定を行っている。主な調査項目としては、介護者・認知症高齢者の概要(性別,年齢,介護年数,要介護度等)、の介護認識(介護の肯定的認識,介護負担感)、自己効力感、介護者の身体状況(血圧、脈拍等)、介護に関連する行動、身体活動量、認知症高齢者の認知障害、BPSDの症状である。 今後は、本調査の継続とデータ解析を行い、在宅介護支援方法の検討につなげる予定である。本研究の実施により得られた結果を踏まえて、認知症高齢者の在宅介護者のもつ、主観的介護認識と介護行動の関連性を明らかにし、主観的と客観的な測定結果を考慮した認知症高齢者の在宅介護者の今後の具体的な支援方法を検討する。
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