介護福祉士、社会福祉士、居宅介護支援専門員、看護師の4職種それぞれ8名ずつにグループフォーカスインタビューを実施した。その結果、それぞれの職種を取り巻く困難な環境、支援に必要な能力、職種の持っている価値観が得られた。 介護福祉士は利用者の思いによりそった価値観を持ち、そのために【直接的な生活援助をするからこそ各専門職が求めに応じてサービス内容を調整する】能力が求められていた。一方で介護福祉士は【他職種の考え方を押し付けられる】などの困難にも直面しており、【他職種の専門性に配慮しながら自分のアセスメントを共有する】といった対応をしていた。 社会福祉士は当事者の意向が最も重要で自立を阻害してはいけないという価値観を持ち、そのために【デマンドとニーズを見極める】などの能力を必要としていた。一方で【当事者・連携する専門職・組織の異なる価値の間で板挟みになる】などの困難に直面しており、【立場が異なる中で妥協点を見出していく】といった対応をしていた。 居宅介護支援専門員はサービスを勧めるのではなく自立を支援し利用者の思いに寄り添ったチーム作りをしたいという価値観を持ち、【議論ができる対等な関係づくりをする】、【本人の好き勝手ではなく、希望に応じた生活を提案する】などの能力を必要としていた。一方で、【立場や場所によって状況のとらえ方が異なる】などの困難に直面しているために【チームで状況を共有するタイミングや方法を見極める】といった対応をしていた。 看護師は対象者の全体を見たうえで害をなるべく小さくするような価値観を持っていた。そのために、【対象者の思いに寄り添って現実的かをアセスメントする】などの能力が必要だととらえていた。一方で、【場所によって求められる看護が変わる】などの困難にも直面しており、【自分の対応できる限界を意識する】といった対応をしていた。
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