本研究の目的は、在宅高齢者の自然排泄移行への支援における訪問看護師の具体的行動を項目化した「在宅高齢者の自然排泄移行への訪問看護支援モデル」を開発することとした。本研究において、自然排泄とは、トイレ、ポータブルトイレ、尿便器といった排泄に使用する用具を用いて排尿、排便ができることと定義している。 在宅高齢者の自然排泄移行への支援における訪問看護師の具体的行動の検討にあたり、米国アイオワ大学で開発され標準的な看護介入として国際的に認知されている看護介入分類(以下、NIC)を参照した。NICに掲載される排泄に関する6つの看護介入(尿失禁ケア、排尿管理、排尿習慣訓練、排便管理、排便訓練、便秘管理/糞便埋伏管理)に含まれる項目を基に、在宅看護分野の研究者である研究協力者と討議し、在宅高齢者の自然排泄移行への支援における訪問看護師の行動として妥当と考えられる項目を抽出した。併せて、NICに掲載される以外で必要と考えられる項目を検討し、この過程により、151の項目を作成した。次に、国内学会誌等で2009年~2019年の過去10年間に発表された論文で、在宅または病院、高齢者施設をフィールドとし、看護師および多職種が高齢者の排泄へ介した成果が報告されている15文献のレビューを行った。文献は在宅3件、病院10件、高齢者施設2件であり、支援の対象である高齢者は移動動作に支障があり、リハビリテーションの実施によって排泄に関連する動作能力向上を図ったという報告が多かった。移動動作訓練の他、有効な支援として、環境調整、低栄養改善、家族支援、排泄フローシートの活用、多職種カンファレンスなどが含まれた。この文献レビュー結果を参考に、151の項目の妥当性を再検討し、「在宅高齢者の自然排泄移行への訪問看護支援モデル」原案として77項目を精選した。
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