本研究は、精神疾患をもつ人々を対象として作成したベネフィット・ファインディング促進プログラムの介入効果を検証することを目的として実施した。 先行研究を参考に作成したプログラムは主に、ストレスマネジメントと、自身のこれまでの経験を振り返りベネフィット・ファインディングについて考える内容で構成した。対象施設は兵庫県内の福祉事業所とし、対象者の選定基準は、地域で生活し対象施設のサービスを利用している、20歳以上で精神疾患をもつ者とした。介入は、研究者らが作成したワークブックを用いて90分/回、1回/週、全8回のグループセッションにより行うこととし、精神看護学を専門とする研究者および精神疾患の経験を有するピアサポーターがセッションを進行させることとした。介入前後で自記式調査票による調査を実施し、ベネフィット・ファインディング、リカバリー等の評価を行った。介入前後の調査協力を得られた者を分析対象者とした。 本研究は研究者の所属大学の研究倫理委員会の承認を得て行い、研究の方法・内容や研究協力の任意性について文書および口頭で説明を行い、同意書による同意を得られた者を対象とした。 福祉事業所1か所を対象施設として実施したパイロット・スタディでは、ベネフィット・ファインディング、リカバリーのスコアの向上傾向が認められた。研究協力者からのフィードバックをもとにワークブックの一部に修正を加えた後、福祉事業所3か所を対象として、同意を得られた24名を介入群と対照群の2群に無作為に割り付けした。介入の有無と時間を要因とした二元配置分散分析の結果、有意な介入効果は認められなかったが、リカバリースコアには中程度の効果量が観察されたことから、本プログラムの介入効果が支持される可能性が示唆された。
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