STEP1インタビューガイドを作成するために手記3冊を分析し、神経性やせ症の身体感覚に関する記述を抽出した。しかし、心理的側面に関する記述が多く、当事者からインタビューで過去の身体感覚に関して聞きだすのは困難だと考えた。そこで、心理的側面も含みプロセスを含む概念である「身体体験」に概念を変更し、神経性やせ症をもつ人はその過程においてどのような身体体験をしているのかを明らかにすることをSTEP2の研究目的に据えた。 STEP2では、外来にて治療を受けている4名に半構成的面接を行い、質的帰納的に分析した。その結果、神経性やせ症をもつ人が体験している身体体験として【感情的態度の表れ】【おかしさへの気づき】【変化の感覚への怖れ】【回復の感受】の4カテゴリーと18サブカテゴリーが明らかになった。この結果より、【おかしさへの気づき】と【変化の感覚への怖れ】の間で長く循環し、【回復の感受】にはつながり難いという身体体験の特徴が考察された。【おかしさへの気づき】と【変化の感覚への怖れ】の間で患者が揺らいでいる時は、行動的事実に焦点を当てた支持的な姿勢を保ち、患者の状況は自分の力で歩んでいるのだと理解することで、巻き込まれないことが重要である等の看護が示唆された。 STEP3では、STEP2で出てきたカテゴリー、サブカテゴリーを研究者が説明し、説明を聞く中で想起した過去のケースを語ってもらった。STEP2の結果から考察されたケアとSTEP3で語られたケアを融合し、神経性やせ症を持つ人の身体体験に関わるケアを明らかにした。
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