研究課題/領域番号 |
17K17519
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
長山 豊 金沢医科大学, 看護学部, 准教授 (10636062)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 行動制限最小化 / 共同意思決定 / 患者参画型看護介入 / リカバリー |
研究実績の概要 |
国内の行動制限最小化に関する知見について情報収集を引き続き行った。共同意思決定に基づく行動制限最小化については、患者と対等な関係性を構築し、治療参加を動機づける関わりを継続することにより身体拘束が減少したという報告がみられた。また、行動制限を受ける患者の視点においては、保護室内で治療やケアを受ける中で、患者が保護室の中で生活する体験の物語(ナラティブ)をどのように形成しているのか探求することが、医療者との共同意思決定を構築する上で重要な要素であると考えられた。精神医療従事者が出来るだけ強制力を発揮せず、患者が抱えている困難や苦しみを一緒に眺めてみる態度で向き合うことで、患者の保護室での生活体験の意味付け・感情・価値観への理解が深まり、共同意思決定を促進する関係構築に繋がることが報告されていた。 さらに、保護室にて療養する経験が患者にとってトラウマ体験を生じさせる可能性がある。保護室という強制的に行動が制約される環境の中で、医療者の対応が患者にとって脅威となりうる働きかけが存在すれば、患者は屈辱的な感情に苛まれ、暴力や暴言などの攻撃的な反応に至ることが懸念される。患者自身が自律性を回復し、エンパワメントされる環境を構築する概念としてトラウマインフォームドケアが国内でも着目されており、保護室における共同意思決定プロセスを支える理念としてトラウマインフォームドケアを理解して患者ケアを行うことが重要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究対象施設における看護師の関係性構築およびコミュニケーション技術に関する調査を行う予定であったが、調査の進行が遅延している。学会や研究会での情報収集により、研究計画を修正する必要性が生じており、現在、研究計画を修正している。
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今後の研究の推進方策 |
患者が主体的に生活が送れるよう援助するための共同意思決定の支援モデルを構築する上で、保護室における患者のナラティブがどのように構築されているのかを理解するため、対象施設の看護師と患者の相互作用について浮き彫りにできるよう研究計画を修正し、データ収集および分析を進め、学会発表および論文作成の準備を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度において看護師への面接調査を実施予定であったが、学会や研究会での情報収集を踏まえて、研究計画を修正する必要性が生じ、現在、研究計画を修正中である。2019年度は、研究対象施設のデータ収集を行う。使用計画としては、研究対象施設のデータ収集のための旅費、逐語録作成のための人件費、分析ソフトの購入及び翻訳料等を予定している。
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