研究課題/領域番号 |
17K17519
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
長山 豊 金沢医科大学, 看護学部, 准教授 (10636062)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 行動制限最小化に対する病棟の組織文化 / 多職種による行動制限最小化の検討 / 合意形成 / 対等なパートナーシップ |
研究実績の概要 |
行動制限最小化に向けて共同意思決定を推進しようとする看護師の共同意思決定の様相を明らかにすることを目的に、精神科病棟の看護師への面接調査及びフィールドワークによる参加観察を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、2020年度の調査実施ができなかった。 そのため、行動制限最小化に影響する看護師の役割、組織風土の影響について情報収集を引き続き実施した。学会報告では、身体拘束が増える傾向にある病棟では、患者側が不穏や興奮状態にあり、怒りのエネルギーが看護者に向けられ、身体拘束が増える傾向にあるという実態が示されていた。身体拘束を積極的に解除しようとしているのは5年未満の臨床経験の看護師であったというデータも提示されており、行動制限に対する価値観・組織風土が行動制限の実施に影響していることが推察された。また、文献検討においても、行動制限最小化に向けて、医師と看護師間、および、看護師同士での行動制限の必要性について積極的に検討する機会を作ることの重要性が示されていた。 また、長期入院患者への意思決定支援に関する研究報告についても、あわせて情報収集を行った。看護師は非自発的な治療に関与することへの葛藤も抱えており、治療に疑念を抱きながら看護実践を行っていた。さらに、患者が治療薬の投与を納得するまで何時間も時間をかけて待つ姿勢が報告されており、できるだけ医療者と患者が合意形成を目指す援助の重要性が示されていた。本研究における保護室の看護実践において、できるだけ対等な関係性を構築し、パートナーシップをもとに自己決定の機会を創出しようとする点は共通していると考える。さらに、非自発的に保護室内で隔離を受けているという点から、患者の自律性や尊厳を守るためのアドボカシーとしての役割を果たすという点では共通した援助内容であることが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
精神科病棟の看護師への面接調査及びフィールドワークによる参加観察を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、2020年度の調査実施ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
フィールドワークによる参加観察を実施することは感染予防の観点から困難であり、テレビ会議システムなどを併用した面接調査、及び、行動制限最小化に関する共同意思決定の実態について質問紙調査を行うよう研究計画を修正する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、研究対象施設におけるデータ収集が実施できず未使用額が生じた。2021年度では、次のように研究計画を修正して実施する。 2021年度は、看護師による面接調査を感染状況に応じて対面とテレビ会議システムを併用して実施、行動制限最小化に関する共同意思決定の実態について質問紙調査の実施、面接より得られた逐語録・質問紙調査から得られらたデータの解析、論文執筆・投稿を行う予定である。未使用額は質問紙の印刷・郵送、人件費(逐語録作成・データ解析の補助)、論文翻訳料等の経費に充てる。
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