研究実績の概要 |
統合失調症をもつ人々の中には,入退院を繰り返し,地域生活を続けることに困難をもつ人々がおり,地域生活に向けた有効な入院中の看護支援を明確にする必要がある。そこで本研究では,再入院した統合失調症患者に対する地域定着に向けた病院看護師による支援の構造と,その関連要因を明らかにすることを目的にした。 独自に『統合失調症患者の地域定着に向けた病院看護師による支援の質問項目』を含む調査票を作成した。調査票は,全国の精神科病院40施設で勤務する看護師1995名に配布した。823名の看護師から研究協力の同意と調査票の返信が得られた。男性324名,女性400名で,精神科病棟勤務経験の平均は11.7年,認定看護師または専門看護師は26名,精神科以外の診療科での勤務経験がある看護師は460名であった。看護師による統合失調症患者の地域定着に向けた支援は5因子から構成されていた。入退院する統合失調症患者には,次のような5つの支援をすることが有効である,と示唆された。1)患者の生活における困難な点の把握,2)休養できる場の準備,3)患者の退院後の生活を想定した目標の共有,4)患者の認知や生活習慣への働きかけ,5)地域における支援システムの調整,である(第39回日本看護科学学会学術集会で発表した)。入退院する統合失調症患者への看護支援の関連要因は,精神科における看護の経験,認定看護師または専門看護師の資格,治療的な関心の高い病棟の風土,看護師の自己省察の高さであった(第6回世界看護科学学会学術集会で発表した)。 現在,上記の成果を論文として投稿する準備を整えている。
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