概日リズム睡眠・覚醒障害の子どもたちのケアプログラム開発のための研究を実施した。平成29年の6月より、研究者の所属大学と研究フィールドとなるA病院での研究倫理審査を経て、エスノグラフィーとインタビューを実施した。 研究結果として、研究対象者(思春期の子ども)8名を中心に、フィールドワークを21回実施している。研究参加者には、対象となる子ども以外にも、A病院の医師4名と看護師6名からの同意得て、外来と入院中の治療や、診察への陪席、看護師の援助の内容をフィールドノーツにまとめている。同時に研究対象者の子どもにインタビューを進めている。インタビューは4名から聴取した。 概日リズム睡眠障害について子どもたちは、体験を語る中で様々な捉え方をしていることが解りつつある。心を病んでいるのではないという語りや、体質に逆らうことができないなどの疑問や不安を、大人に打ち明けられず悩んでいる子どもがほとんどである。また、家族の関係にも影響しており、不登校を同時に体験するため、複雑になるケースもあった。 看護師は入院中に関わる機会が多いが、起床と光療法、内服を促すことは実施しているがエビデンスを考慮した個別性のあるケアを実施していると自覚する者は少ない。命への影響の低さ、大人しい概日リズム睡眠障害の子どもは指示に従うため、深く関わらないことが多くなっていた。午睡の防止や昼間の活動に関しては、観察は少なく口頭での確認のみであったり、退院後の生活に関して一緒にイメージするなど思春期という特性を考慮したケアは比較的少ないことが解った。 2018年にアジア睡眠学会でポスター発表、日本看護科学学会学術集会での発表を行った。2019年はデータの分析を行ったが論文にまとめるまでは至らなかった。
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