本研究は、今後増加することが予測される高齢人工股関節置換術後患者の転倒について明らかにすることで、人工股関節の特性を考慮した転倒予防介入を構築することを目的としている。 2022年度は、2020年度より、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、実施を見送っていた2019年度に実施したインタビュー調査の結果および生物学的・環境的リスク、活動状況・退院時に受けた退院指導の内容を問う質問紙を用いてアンケート調査を実施し、人工股関節置換術後患者の転倒要因を明らかにすることを予定していた。2021年度に文献検討の結果、転倒予防に対する介入(運動プログラム、指導)について看護師の介入は医療機関における人工股関節手術のための入院前・入院中・退院後早期の生活が主であることから、医療機関の外来部門で看護師による転倒予防に対する介入として運動プログラムではなく生活指導実施をめざすこととした。具体的な指導内容については、アンケ―ト調査結果に基づき転倒予防に関する生活指導を目的とした介入方法の検討を予定していた。 しかしながら、アンケート調査の実施に際して、新型コロナウィルス感染拡大が継続していたため研究者の移動が困難であったことや患者会活動の中止が継続されていたため調査協力依頼ができなかった。また、外来通院患者への協力依頼を検討したが、同様の理由で依頼が行えなかった。そのため、生活指導介入プログラムの作成にいたらなかったが、これらの医療状況と昨今のIT化を考慮した際に、指導方法を外来受診時といった患者が医療機関に出向く際と限定せず、web会議ツールやソフトの活用などの検討が必要である。
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