研究課題/領域番号 |
17K17532
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研究機関 | 九州看護福祉大学 |
研究代表者 |
中野 聡太 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 講師 (50615317)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 移乗介助 / 模倣要介助者支援体験法 / 下肢荷重量 / 介助量の適正化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的の一つ目は,種々の機能障害を有するケースへの移乗介助において,模倣要介助者支援体験法が要介助者の能力発揮を促すのに有効であるかを明らかにすることである.まず,模擬片麻痺患者の下肢荷重量を増すのに本法が有効か否かについて調査を行った.続いて,模擬多関節可動域制限保有患者の下肢荷重量を増すのに本法が有効であるかについて調査を行った. 模擬片麻痺患者の離殿時における下肢荷重量について,移乗介助2回目と1回目の差は,対照群で-0.6±7.6kg(n=15),模倣要介助者支援体験法群で11.0±12.6kg(n=15)であった.つまり,模擬片麻痺患者を模倣した理学療法士を相手に移乗介助体験を積む模倣要介助者支援体験法では,介入後の要介助者の下肢荷重量が対照群と比較して,平均で11.6kg増加する結果となった.また,多関節可動域制限保有患者の離殿時における下肢荷重量について,移乗介助2回目と1回目の差は,対照群で-1.5±6.6kg(n=15),模倣要介助者支援体験法群で15.2±13.5kg(n=15)であった.つまり,模擬多関節可動域制限保有者を模倣した理学療法士を相手に介助体験を積む模倣要介助者支援体験法では,介入後の要介助者の下肢荷重量が対照群と比較して,平均で16.7kg増加する結果となった. 本研究の目的の二つ目は,要介助者の物理的な重さを起立から移乗対象物へ着座するまで網羅的に把握できる移乗介助量把握システム(以下、移乗介助量把握システム)を構築することである.これについて,新型フォースシューズ,着座計測装置を完成させた.現在,各装置をシステムとして連動させるためのプログラムを作成中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度に移乗介助量把握システムを完成させる予定であったが,現在プログラムの作成段階であり,やや遅れている.一方,一部計画を変更し,2018年度に予定していた模擬多関節可動域制限保有患者に対する模倣要介助者支援体験法の有効性に関する調査を終了した.従って,総合的な観点からおおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
早期に移乗介助量把握システムを完成させるため,プログラムを作成し,本年の6月中に床反力計を用いた妥当性の検証を行う.その後,本研究の目的の三つ目である,移乗介助における腰痛リスク回避能力基盤の検証を行う.具体的には,8月末までに部分介助中の要介助者の重さと介助者が感じる重さとのギャップを明らかにする.また,模倣要介助者支援体験法による移乗支援の適正化が,要介助者の急な状態変化(介助量増大)への気づきに寄与するかを11月末までに明らかにする.加えて,模擬筋力低下例に対する模倣要介助者支援体験法の有効性を12月末までに明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度の実支出額の大半を物品費が占めた.交付額を考慮し,計測システムを構築するための物品を再考した上で購入した.また,2018年度に予定していた調査の一部を前倒して行ったため,その際に発生した謝金を計上した.概ね予算内に収まったが,次年度使用額が生じることとなった. 2019年度はデータ収集,成果発表が主となる.従って,主に謝金,成果発表旅費,英文校正費,論文投稿費を賄うために,同年度の助成金と合わせて使用する計画である.
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