クロノタイプの違いによる睡眠・エネルギー代謝の実態を明らかにすることを目的に、(1)過眠症患者におけるソーシャルジェットラグの臨床的意義についての検討(2017年度)、(2)年代的に夜型のクロノタイプを有する大学生を対象とした睡眠調査(2018~2023年度)、(3)将来、交代制勤務に従事する者が多い看護学生の集団を対象とした睡眠調査(2018~2023年度)を実施した。アンケートによる主観的睡眠だけでなく、睡眠センサマットによる体動測定や簡易脳波計を使用した終夜睡眠時脳波測定による客観的睡眠についても評価した。 2019年までの調査では、当初の計画通り、クロノタイプの違いに着目した検討を実施し、大学生(看護学生を含む)において、夜型のクロノタイプは学業パフォーマンス(欠席、遅刻、授業中の居眠り、学業への支障感)と関連することを見出した。夜型のクロノタイプの学生における学業パフォーマンスの改善に向けた介入策の検討を行う予定であったが、2020年以降は、新型コロナウイルスのパンデミックにより、クロノタイプに関わらず、大学生全体において、睡眠に変化がみられる事態となった。そこで、計画を一部変更し、コロナ禍の大学生の睡眠の変化を縦断的に検討することとした。2019年(コロナ前)に比べ、外出自粛中(2020年)では、看護学生の睡眠時間は延長し睡眠覚醒リズムは後退した。対面授業に戻った後の2021年以降では、睡眠時間や睡眠覚醒リズムが元に戻り、2021年は睡眠覚醒リズムが前進した学生において、睡眠麻痺や悪夢といったレム睡眠関連症状がみられたが、2022年にはコロナ禍以前の睡眠に戻りつつあることが確認された。 コロナ禍では社会的な要因が学生の睡眠に強く影響することが明らかになったため、2023年度は、授業スケジュール(始業時刻など)に着目した睡眠アンケート調査や睡眠測定調査を実施した。
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