研究課題/領域番号 |
17K17537
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊藤 沙紀子 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師(常勤) (80734152)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 介護支援専門員 / ケアマネジメント / 居宅介護支援サービス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ケアマネジメントにおいて重要な過程である「サービス利用者の情報収集」に着目し、介護支援専門員の情報収集と専門性の関係を解明することである。 これまで、高齢者ケアのマネジメントに関する文献検討およびデータ分析等を実施した。主に介護給付費等実態調査データを活用して、ケアマネジメントにおける介護支援専門員の専門性による特徴を探索した。介護支援専門員の上級資格である主任介護支援専門員に着目し、後向きコホート研究を実施した。さらに介護支援専門員を対象とした視線計測および半構造化面接を実施する予定であったが、産前産後休暇・育児休業の取得およびCOVID-19の感染拡大のため、当初計画通りに研究を遂行できなかった。 令和3年度は、主任介護支援専門員らを対象とした視線計測および半構造化面接のデータを分析する予定であった。特に、視線計測に関しては注視点項目を抽出して注視点を比較し、視線の停留時間に関しては停留回数や停留点の時系列を分析し、さらに必要に応じて停留時間割合を比較する予定であった。しかしながら令和3年度においてもCOVID-19の感染拡大のため、主任介護支援専門員らへの負担を考慮して視線計測実験および半構造化面接の実施を見送った。一方で、視線計測実験に用いる実験機器に関して、近年開発された視線計測機器やデータ解析ソフトウェアを精査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の目的は、ケアマネジメントにおいて重要な過程である「サービス利用者の情報収集」に着目し、介護支援専門員の情報収集と専門性の関係を解明することである。平成29・30年度研究計画の「A: 高齢者ケアのマネジメントに関する文献検討および事例調査」と「B: 国内外の視線計測に関する文献検討」は、計画通りに完遂することができた。「C:介護支援専門員の情報収集時の視線計測」は、視線計測実験に用いる実験機器を選定した。平成31年度は、視線計測実験を実施する予定であったが、産前産後休暇および育児休業の取得により、当初計画通りに実施できなかった。令和2および3年度はCOVID-19の感染拡大のため、研究対象者である介護支援専門員への負担を考慮して視線計測実験および半構造化面接の実施を見送った。そのため、計画通りに研究を遂行できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、主任介護士支援専門員らを対象として、ケアプラン作成時の視線計測および半構造化面接を実施する。それらの研究成果を早急にまとめて学会発表する。 <介護支援専門員の視線計測:定量調査> 介護支援専門員の情報収集時の視線を計測する。具体的には、視線の停留点 (注視点)、視線の停留時間 (注視時間)、視線の停留回数 (注視回数) を分析し、介護支援専門員の専門性による視線情報の特徴を明確にする。実験機器は、軽量で着脱が容易な眼鏡タイプの視線計測装置を用いる。視線の計測方法は角膜反射法とする。視線追跡カメラで眼球運動を測定し、角膜上の赤外LEDの虚像が眼球運動に伴って平行移動するのを、赤外感度をもつビデオカメラで検出する。データ分析に関しては、視線計測では注視点項目を抽出し、注視点を比較する。視線の停留時間に関しては、停留回数や停留点の時系列を分析する。 <半構造化面接:定性調査> 視線計測を実施した介護支援専門員を対象に、半構造化面接を実施する。視線計測後、意識的に情報収集した項目等について、20分程度の半構造化面接を実施する。さらに上記研究の成果を学会で発表するとともに、国際学術誌に原著論文として発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:COVID-19の感染拡大による介護支援専門員らへの負担を考慮して、介護支援専門員らを対象とした視線計測実験および半構造化面接の実施を見送ったため。
使用計画:令和4年度は令和3年度に計画していた視線計測および半構造化面接を実施し、それらの研究結果を早急にまとめて学会にて発表する。研究費の使用計画としては、研究対象者への謝礼、原著論文の英文校正費および国際学術誌掲載料等として支出する。
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