本研究の目的は、高血圧が関連する生活習慣病(脳血管疾患等)による死亡が急増し、高血圧予防・健康増進対策が急務であるインドネシアにおいて、地理・経済・教育的に不利な状況にあるインドネシア農村部の中年期女性の中でも、健康行動(定期的な血圧測定)を実践している人(ポジティブデビアンス)に着目し、地域で入手可能な資源や成功要因によって実現可能な高血圧予防・健康増進アプローチを開発、評価することであった。 最終年度である2019年度は、以下を実施した。 1.ポジティブデビアンスな行動と要因の発見:2018年度に実施したインタビュー調査について、インドネシア研究協力者らと協働して質的分析を実施した。その結果、インドネシア農村部において、定期的な血圧測定を実践しているポジティブデビアンスな女性は、自身の健康状態を知ることの大切さを認識し、地域住民、保健ボランティア、保健医療従事者など地域資源に支えられながら定期的な血圧測定を実践しているという特徴があった。 2.インドネシア研究協力者らとの分析結果をふまえた健康増進アプローチに関する討論:上記の分析結果をふまえ、インドネシアにて大学教員、保健医療従事者、保健ボランティア、学生を対象としたフォーラムを開催した。フォーラムにて、保健ボランティアなど地域資源を活用した健康増進アプローチの妥当性や実現可能性について議論した。今後の展開として、引き続きインドネシアの農村地域にて研究を続けていくことを検討した。
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