研究課題/領域番号 |
17K17542
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
水口 和香子 札幌医科大学, 保健医療学部, 助手 (20781462)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | おっくう / 地域高齢者 / 外出 |
研究実績の概要 |
本研究の最終目的は、介護保険未認定である75歳以上の住民を対象としたおっくうと感じている地域高齢者の閉じこもりに至る前の予防支援策を開発することである。 本年度の目的は、①おっくうと感じている地域高齢者の外出についての思いを質的に明らかにする、②面接調査で得られた知見「①おっくうと感じる時、②外出についての思い」を含んだ質問紙を作成し、量的におっくうと感じている高齢者の外出についての実態を把握することであった。 本年度の目的①については、以下の通りであった。対象者は、研究対象自治体・地域包括支援センター・老人クラブより紹介を受け、研究参加への同意が得られた一地方都市在住75歳以上の住民のうち介護保険認定を受けていないが、おっくうと感じている住民10名で、平均年齢82.8±4.4歳だった。おっくうと感じている地域高齢者の外出についての思いは、《楽しい》《体も心も気持ちがよい》等の外出を促す思い(9カテゴリ)、《大変である》《大儀である》等の外出を妨げる思い(12カテゴリ)が抽出された。おっくうと感じている地域高齢者は外出を妨げる思いを持つ一方で、外出を促す思いも持っていた。支援を行う際には、外出についての思いを把握した上で、外出を促す思いは支持し、外出を妨げる部分にはどのような背景があるのかを十分把握し、多様な側面から支援を行う必要があることが示唆された。 本年度の目的②については、①の面接調査が延長したことで実施できていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
おっくうと感じている地域高齢者の閉じこもりに至る前の予防支援策の開発を目的として、平成29年度おっくうと感じている地域高齢者の外出についての思いについて面接調査を実施し、その結果を用いて平成30年度に介護保険未認定である75歳以上の住民への郵送調査を計画していた。 平成29年度に研究対象者への面接調査を開始したが、面接調査目標対象者数の半分に満たなかった。そのため、平成30年度研究計画立案時に平成30年度も面接調査を実施する期間とした。結果、面接調査目標対象者数には至らなかったものの、平成29~30年度の2年間で10名の面接を終了した。10名から語られた内容で飽和状態となったため、本研究データの分析を試みた。現在、分析を行った内容をもとに平成31年度以降の量的研究の質問項目の検討を行っているところである。 研究当初には予期できなかった進捗状況であり、研究当初の計画とは1年度遅れている現状である。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度の研究目的は、平成29~30年度の質的研究結果を用いて、一地方都市在住の介護保険未認定である75歳以上の住民を対象に郵送調査を行い、おっくうと感じている高齢者の外出についての実態を明らかにする。 令和2(2020)年度、研究を延長し、以下の研究を行う。平成31年度郵送調査回答者全員に平成31年度と同様の調査内容で郵送調査を実施し、おっくうと感じている高齢者の外出についての思いや外出頻度・種類別の社会活動状況の変化について明らかにする。また、郵送調査結果について分析し、おっくうと感じている高齢者の閉じこもりに至る前の予防支援策を開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度の研究計画では平成30年度に郵送調査を実施予定であった。しかし、平成29年度、目標とする研究対象者の確保が難しかったことから、平成30年度は研究協力依頼箇所を老人クラブへ拡大し、平成29年度と同様の研究対象者を募り、面接調査を実施した。以上から平成30年度予定していた郵送調査に関する支出が生じなかったため、次年度使用額が生じた。 平成31年度は、平成30年度実施予定であった郵送調査に関する費用(消耗品費・人件費・その他)を計画的に使用していく予定である。
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