本研究の目的は、介護保険未認定であるおっくうと感じている地域高齢者の閉じこもりに至る前の予防支援策を開発することである。 目的を達成するため、一地方都市在住の介護保険未認定である75~84歳の地域住民を対象に以下の研究を実施した。①おっくうと感じている高齢者にインタビューを実施し、外出への思いや考えを質的に明らかにした。その上で、以下の縦断的研究を実施した。②2019年度は、同地域住民を対象におっくうと感じている高齢者の外出についての現状を明らかにし、③1年後の2020年度は、おっくうと感じている高齢者の社会活動状況・外出についての思いや考え・外出頻度の変化について郵送調査を実施した。分析対象は、2020年度も継続して調査協力の同意が得られた310名のうち、有効な回答が得られた226名(男性94名、女性132名)とした。質問項目は、2019年度と同様に外出に関する項目(社会活動状況・①のインタビューにより得られた知見である外出についての思いや考え・外出頻度)、対象者の属性、身体的・心理的・社会環境要因で構成した。分析は、1年後におけるおっくうの状態の変化により、おっくう継続群、おっくう移行群、おっくう改善群、非おっくう群の4群に分類し、各群の記述統計、外出に関する項目の変化はWilcoxonの符号付き順位検定を実施した。 結果、おっくうの状態は、おっくう継続群19名、おっくう移行群23名、おっくう改善群12名、非おっくう群172名であった。各群において外出に関する項目に有意な変化が認められ、その内容は各々異なる様相となった。 これらの知見から、閉じこもり予防支援においては、外出の内容に特化した対象者の状況把握の必要性が示唆された。本研究では、比較的健康な状態にある地域高齢者を対象とした閉じこもり予防・支援の一助になる結果が得られ、今後、学会発表、論文投稿の予定である。
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