本研究では、発達障害児が外来受診をした時に、看護師が親と協働して看護介入できる協働看護支援システムの開発を目的とした。平成29-30年度は、発達障害児の外来受診に関する国内外の文献検討を進めた。その中で、発達障害児の親は、特に耳鼻咽喉科と歯科の受診に困難を感じていることが明らかになった。歯科の分野では、障害児歯科が早くから導入され、支援が実施されてきているが、耳鼻咽喉科外来での支援に関する報告は見当たらなかった。そのため、発達障害児が受診に困難を抱えている耳鼻咽喉科に焦点をあて、まずはケアガイドを作成することにした。 令和1年度は、発達障害児の耳鼻咽喉科診療に関するケアガイドを作成するために、先駆的に支援が実施されている歯科診療における支援に関する文献検討を実施した。 その結果を枠組みに、耳鼻咽喉科診療における問題と支援に関するインタビュー調査を進めた。 令和2年度は、耳鼻咽喉科診療における問題と支援についてのインタビューを引き続き実施した。インタビューデータから、耳鼻咽喉科診療において、医療関係者が捉える問題と支援方法を明らかにし、その結果を基盤にケアガイド(案)を作成した。 令和3年度は、作成したケアガイドの更なる洗練化のためにASD児の診療に携わっている医療関係者およびASD児の養育者を対象とし、ヒアリング調査を実施した。ヒアリング内容は、類似する意見をまとめて要約した。その結果、ケアガイドに対する意見は、レイアウトの修正やケア内容の追加項目が挙げられた。また、耳鼻咽喉科診療時の頭部固定とASD児のパニック時における対応については、意見が二分したため、更なる検討の必要性を確認した。これらの追加修正を加え、ケアガイドの洗練化を図った。 令和4年度は、最終年度として令和3年度に実施したヒアリング調査結果の論文作成に取り組んだ。
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