胃がんの発生と関連があるHelicobacter pylori(ピロリ菌)の感染源を特定することを目的に、胃がんの発生が多い地域のヒトと日常生活環境(163検体採取)におけるH. pyloriの蔓延実態を調査した。結果、住民の便検体の20%からH. pylori遺伝子が検出された。検出されたH. pyloriのうち、特に胃がんのリスクを高めるとされるcagA遺伝子を保有していた株は33.3%であった。日常生活環境検体からはH. pylori遺伝子は検出されなかったが、質問紙調査の結果からは動物(主にイヌ)が感染源として疑われ、人獣共通感染症の視点も含めた更なる疫学調査の必要性が示唆された。
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