研究課題/領域番号 |
17K17552
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研究機関 | 梅花女子大学 |
研究代表者 |
西田 大介 梅花女子大学, 看護保健学部, 助教 (80783729)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自殺未遂 / 再企図防止 / 地域 / 保健師 / 行政機関 |
研究実績の概要 |
自殺に関する専門的な知識と自殺未遂者支援の経験がある精神保健福祉センター・保健所・救急告示病院で働く専門職(精神科医師、保健師、精神保健福祉士、臨床心理士、リエゾン精神看護専門看護師)14名に「自殺未遂者の再企図防止に有効な支援について」をテーマにインタビューを実施した。インタビューからは、地域で支援されている自殺未遂者は、メンタルヘルスや家族問題を抱えており、孤立してSOSをだせない特徴を持っていること。行われている支援としては、孤立してSOSが出せない自殺未遂者の特徴を理解し、関係が途切れないように気遣い、本人を放っていないことを伝え続けていた。また、家族の中での居場所を作り、他機関と協力しながら生きやすい環境づくりを行っていた。そして、本人の生き方を支えるナラティブ・アプローチと並行して、SOSを見逃さずに危機介入をしていた。しかし、支援していても再企図をしてしまう自殺未遂者も存在し、再企図する人は自殺未遂後間もない時期に、SOSを出さずに実行してしまうことが明らかになった。 専門的な知識を有する専門職の支援内容と違いを検討するため、市町村の行政機関で働く自殺未遂者支援の経験を有する保健師・精神保健福祉士を対象に、「市町村における相談専門職の自殺未遂者支援の現状」をテーマに個別インタビューを実施し、平成29年度に7名が終了した。市町村の行政機関で働く保健師や精神保健福祉士は、自分自身の支援がこれで良いのか確信が持てず、再企図してしまうのではないかと心配し、自殺念慮の確認を随時行い、精神科医師など専門家に助言を求めながら支援していた。また、再企図のリスクはどう評価したら良いのか、いつまで支援を継続したら良いのか悩みを抱えていた。平成30年度も継続してインタビューを実施し、市町村における自殺未遂者支援の現状を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地域で働く専門家と市町村の専門職のインタビューから、地域で行われている支援の現状が明らかになりつつある。残りのインタビューの実施と分析を行う予定であり、当初の計画どおり概ね実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、市町村の行政機関で働く専門職のうち自殺未遂者支援の経験のある人に引き続きインタビューを実施し分析を進める。全てのインタビューと分析が終了した後、分析結果が市町村で働く保健師に当てはまるのか質問紙調査を平成30年度後半から平成31年度当初にかけて実施する。 平成30年度に、自殺未遂者の再企図防止支援ケースが蓄積された行政機関とも共同し、量的研究を行いデータからどのような支援を受けた人が再企図しなかったのか分析を行う。 平成31年度は、自殺に関する専門的な知識と自殺未遂者支援の経験がある専門職からのインタビュー結果、市町村の行政機関で働く保健師のインタビュー・質問紙調査結果、量的研究結果から、自殺未遂者の再企図防止に有効な支援方法を明らかにし、その支援を行う専門職育成のためのプログラムを開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に実施したインタビューのテープ起こしにかかる費用を平成30年度に使用を繰り越したため、次年度使用額が生じた。平成30年度当初計画分については、予定どおり調査・分析のための経費や学会発表の経費などに支出する。平成29年度の研究成果の発表は平成30年度に行う予定である。
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