統合失調症の認知機能障害に対する治療として認知リハビリテーション(以下、認知リハ)が開発され、応募者も実践し、認知機能や疾患特異的なQOLにおける効果を明らかにしてきた。本研究の目的は認知リハが統合失調症患者の脳の神経活動に与える影響を脳波の1種である事象関連電位(ERP:Event Related Potential)を用いて解明することである。そのため、統合失調症患者に対し認知リハ介入を実施し、その前後で複数のERPを測定し比較する。本研究によって、認知リハが脳の神経活動にどのような変化をもたらすのか生理学的な観点からあきらかにする。本研究により統合失調症に対する認知リハの効果を生理学的な観 点から評価することができ、より効果的な認知リハを開発するための足掛かりになると考える。 得られた結果より、NEARによる認知リハ介入では神経心理学検査などの行動学検査では成績が向上するが、注意課題時のP300や記銘課題時の後期陽性成分などのERP、また時間周波数解析による各帯域の神経活動のパワー値の変化では効果を把握できるレベルでは脳の神経活動には変化が生じないということが明らかになった。 最終年度では予定の対象数からデータ収集を終え、国際学会へ投稿し報告を行った。また、論文は英訳も完成しIF付の学術誌に投稿済みである。
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