2019年度ににおいては、初年度に新規構築した気液二相流試験装置を用い、室温にて高温高圧の流れ場に近い気液密度費において実験を継続し、データベースの拡充を行った。本助成2年目に開発したマルチセンサープローブ系を用い、局所ボイド率、界面積濃度の計測を行い、流れ軸方向ならびに半径方向における詳細なデータの取得に成功した。本実験にて着目した流動様式は気泡流とキャップ気泡流の二種類であり、流動様式近傍における気泡の相互干渉に着目し、高速度カメラによる可視化観測による比較検証も並行して行った。高温高圧条件下においては気泡の膨張が抑制されるため、大気圧条件下と比較し、気泡相互作用等のモデル検証に適した条件となるためであるため、得られたデータベースをもとに、現在提案されている界面積濃度輸送方程式のソース項の検証を実施した。また、実験計画の一つであった非均一条件での液相並びに気相注入におけるデータ取得も試みたが、本助成期間中の実験では、装置の設計上、流体の安定供給維持が困難であったことから、二相流モデルV&Vに見合うデータベース拡充には至らなかった。本年度までの結果から、現在使用されている輸送項の修正が必要であることが示唆され、ソース項モデルの改良ならびに新規提案に向け解析を継続しているところである。特に、既存の二相流モデルの多くが大気圧条件下におけるデータベースに依存しているため、本研究により得られた知見とノウハウは幅広い二相流現象に適用可能と考える。
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