研究課題
本年度は,橋台の構造形式が異なる際の被災形態に着目した実験と,通水性能を有する壁面材を用いた補強土壁とジオセルを敷設したのり面保護工を想定した対策工の効果検証実験を行った.その結果,1)盛土の侵食は橋台と盛土の境界の構造物境界部で進行し,橋台内盛土へと進行した.特にピアアバット形式橋台では,逆T型形式橋台と比較して橋台内盛土の侵食と流出が顕著であり,最終的には橋台内盛土に上流から下流方向へ向かうトンネル状の空洞が発生し,支持力を失った舗装面が完全に陥没した.2)橋台形式に依らず,盛土のり面および橋台内盛土の侵食・流出や盛土の崩壊時における圧力水頭(間隙水圧)の有意な増減は確認できず,今回の実験の範囲では有効応力の増減は盛土の侵食・流出に与える影響は小さい可能性がある.3)対策工として,壁面工に通水性能を有するギャビオン補強土壁を用いた場合には,補強土壁部が部分的に崩壊した.また,ジオセルを用いたのり面保護工を用いた場合には,のり面工背面盛土の流失に伴って中詰め材が流失した.しかし,道路路面の陥没に至るような橋台内盛土の流出は発生せず,河川増水に対する粘り強い対策工としての有用性を確認した.
2: おおむね順調に進展している
本年度は,対策工として壁面工に通水性能を有するギャビオン補強土壁およびジオセルを用いたのり面保護工の対策効果の検証について,昨年度用いた屋内開水路による模型実験を実施した.その結果,両対策工ともに河川増水に対する粘り強い対策工としての有用性を確認した.以上のことから,現時点では当初の計画通り,おおむね順調に進展しているものと考えている.
平成30年度の成果として2つの対策工に関する模型実験を行い,その結果,本研究で提案する2つの工法ともに河川増水に対する対策工としての有用性を確認した.今後は,対策工に作用する流体力など,対策工の設計に資するデータの取得を目的とした実験を実施する予定である.
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Soils and Foundations
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doi.org/10.1016/j.sandf.2019.01.006
ジオシンセティックス論文集
巻: 33 ページ: 159-166
巻: 33 ページ: 145-152
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