研究実績の概要 |
基礎研究では、豚網膜摘出血管のEx-vivoの実験系を用いて、網膜動脈に対するトロンビンの反応について、血管外からのトロンビン投与で起こる動脈収縮については、Protase activated receptor(PAR)-1を介しPKCおよびROCKが関与により起こること、また、PAR-2、およびPAR-4は介していないことことを明らかにした。また、血管外からの高濃度 トロンビンによる血管弛緩反応は血管内皮のeNOSを介していることを明らかにした。更に、PAR-1を介した収縮反応は血管内からは起こらず、血液網膜関門によ りブロックされることをまとめて、 Thrombin-Induced Responses Via Protease-Activated Receptor 1 Blocked by the Endothelium on Isolated Porcine Retina Arterioles”(Takahashi K*, Omae T, Ono S, Kamiya T, Tanner A, Yoshida A, Curr Eye Res. 2018)として、英語論文として、投稿し受理された。 そこで得られた結果から、臨床研究では当初の実施計画にあった、糖尿病網膜症よりも、血液が血管より漏れ、血管外から作用しうる網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)の方が、トロンビンの影響を受けやすいと考え、硝子体中トロンビン濃度の上昇が既報にあるBRVOで、患者における網膜静脈の血流データを横断的に収集し、BRVOにおける網膜静脈血流 の低下については血流速度よりも血管径の変化が関与していること、また、血管径が視力に関与することが示唆されることを2019日本眼科学会総会および国際学会であるARVO2019にて報告した。現在は、その内容をまとめ、英語論文とし投稿しているところである。
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