過敏性腸症候群(IBS)は繰り返す腹痛と排便異常を呈する機能性消化管疾患である。近年腸内細菌との関連も指摘されるも疾患に一定した傾向は議論が有る。またIBSは視床下部-下垂体-副腎皮質軸の反応性が健常者と異なるとされる。唾液コルチゾールはストレスと関連するが、IBSの口腔内環境の報告は殆どない。申請者らはIBS患者は症状出現時と、非出現時の口腔、便の細菌叢、代謝について検証した。IBS患者のうち腹部症状出現時は、便細菌叢ならびに短鎖脂肪酸や神経伝達物質代謝が変化していることが示された。一方、便細菌叢変化について、健常者群とIBSの通常排便時で有意差を認めなかったが、歯垢では有意な菌を認めた。
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