研究課題/領域番号 |
17K17588
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
折本 愛 岩手大学, 理工学部, 特任研究員 (30710967)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ADAMTSL6β / fibrillin-1 |
研究実績の概要 |
Marfan症候群(MFS)は、fibrillin-1 (FBN-1)のミスセンス変異によるハプロ不全を原因に微細線維崩壊症を引き起こし、その結果として、歯周病や解離性大動脈瘤を含む全身性に、様々な結合組織疾患を引き起こす。このことから、微細線維は、結合組織で強度維持に働いている普遍的な機能分子であり、その崩壊機構は全身の結合組織疾患と歯周炎などの歯科領域での疾患を繋げる共通の標的と考えられる。そこで、マルファン症候群における微細線維を中心とした組織破壊機構の研究をFBN-1の結合タンパク質であるADAMTSL6βに焦点をあて研究を行ってきた。ADAMTSL6β変異体の組み換えレトロウイルスを用いたADAMTSL6βのFBN-1に対する結合ドメイン解析から、ADAMTSL6βの3番目のTSP ドメインが、微細線維形成に重要な役割を果たしている可能性を示した。本研究成果は、マルファン症候群を含む他の結合組織疾患に対する病態解明および有効な治療技術へと発展する可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ADAMTSL6β変異体のレトロウイルスをこれまで使用してきた細胞とは、異なる細胞に感染したADAMTSL6β定常発現細胞を樹立する予定であったが、ウイルス感染後の細胞の生存率が悪く、解析を予定どおり進めることができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
ADAMTSL6β定常発現細胞からRNAを抽出し、RNA-seg解析を行うことで、微細線維を中心とした組織破壊を誘導する細胞内遺伝子ネットワークの全貌を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまで用いていたMG63細胞に加え、新たなADAMTSL6β定常発現細胞を樹立するにあたり、 感染ターゲットとした細胞は、レンチウイルの毒性が影響し、増殖能力を失い、解析を行うことが不可能であった。そこで、ウイルスを用いた遺伝子導入法からピギーバックベクターを用いた方法に変更し、細胞への遺伝子導入を試みることに予定を変更した。そのベクター作製にあたり、DNA配列の一部DNA合成を海外の業者へ発注依頼していたが、その合成が社会状況により大幅に遅れたため。
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