研究課題/領域番号 |
17K17593
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐々木 敬 東北大学, 工学研究科, 助教 (60633394)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | MEMS / 音波 / 振動 |
研究実績の概要 |
マイクロミラーは回転振動もしくは屈曲振動する小型光学鏡のことを指し、偏向・集光素子等として、近年ピコプロジェクターやウエアラブルグラスなどへ応用が進んでいる。これらの機器の重要な性能である解像度や消費電力はマイクロミラーの振動振幅と駆動電圧に直接関連するため、低駆動電圧で大振幅振動可能なマイロミラーの実現が望まれている。この要求に応える方法の一つとして、現在までに、屈曲振動型マイクロミラー構造に音波閉込めのための音響空洞構造を設置するデバイスを提案し、振動振幅特性の変化を観測した。本研究では、この音波と機械の相互作用を利用する新しい手法を追求し、更なる低電圧駆動型のマイクロミラーを実現することを目的としている。 平成29年度は回転振動型のマイクロミラーについて理論解析と実験を進めた。大気中で振動するスキャナの主なエネルギ損失要因である音響放射損失と粘性損失の量を、解析的に推定し、音響空洞構造が有効によく表れる設計領域を推定した。この解析により、ミラーのサイズが大きくまた、振動周波数が高い回転振動型光偏向スキャナにおいて、粘性損失と比較し音響放射損失が大きくなる傾向となることが分かった。また、音響空洞構造を備えた回転振動型のマイクロミラーをSilicon on insulatorウエハを用いて実際に製作し、音響空洞の効果を測定した。音響空洞構造の長さを変えるとミラー振幅が周期的に変化した。この振幅周期はマイクロミラーの振動周波数より予測される音波波長の半分によく一致したため、回転振動型マイクロミラーにおいても、機械と音波の相互作用が表れることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
回転振動型マイクロミラーにおいて、理論的な解析が進み、また実験においても音響空洞の効果が観測された。おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
現状では近似されたモデルで解析を行っており、実際のデバイス構造の特性予測には精度が十分でない可能性がある。実際のデバイス形状においてこれらの効果の予測ができるよう、シミレーション等を用いて音響空洞構造の設計の精度を高める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予想より実験がよく進展したため、実験物品の購入費が少額となった。翌年度分として請求した助成金と合わせ実験物品等の購入に活用する。
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