生物は生殖細胞とそれ以外の体細胞とから構成される。ヒトを含む哺乳動物では、生殖細胞が唯一、精子または卵子を形成した後に、受精を経て世代の継承を保証する。生殖細胞の異常は不妊や子孫が持つ様々な疾患の原因となる。本研究では、遺伝子のスイッチのON/OFFに重要な核タンパク質であるヒストンに対するアセチル化・メチル化・リン酸化を担う約200の修飾酵素の中から、始原生殖細胞の出現に役割を持つヒストン修飾酵素を網羅的に同定することに成功した。特に、脱メチル化酵素が体細胞への分化に働く遺伝子群を発現抑制すること、メチル化酵素がシグナル経路を担保することで、始原生殖細胞の出現に寄与することを詳細に示した。
|